ダ・ヴィンチ・コード

THE DA VINCI CODE/2006・米
監督/ロン・ハワード
出演/トム・ハンクス オドレイ・トトゥ
    イアン・マッケラン アルフレッド・モリーナ
    ポール・ベタニー ジャン・レノ
☆☆☆

名画に秘められた暗号とは‥?
ルーブル美術館長ソニエールは何者かに銃で撃たれ、遺体はレオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」を模した形で横たわっていた。周りには不可解な暗号が残され、その中にハーヴァード大学教授ラングドン(トム・ハンクス)の名前があった。犯人とし疑われたラングドンはソニエールの孫娘ソフィー(オドレイ・トトゥ)によって助けられ、二人で逃亡しながら暗号の謎解きに挑む。

子供の頃から教会に通う機会が多かったので聖書のお話は好きですが、ダン・ブラウンの原作は読めませんでした。映画を楽しむためにはやはり原作を読んだ方が良いと思います。でも小説も映画もフィクションなので聖書を信じる人たちにはでっちあげのストーリーと写ることは確かですね。それでも真実もほどよく入っているところが人気の秘密なんでしょうが。映画は特に見せ場があるとか、感動的という場面はなくて早いテンポで進んで行ってるので理解できないまま観てました。いちばん印象に残ったのはイアン・マッケラン扮するティービング卿が「最後の晩餐」でキリストの隣にいる人はマグダラのマリアであると熱心に語るシーンです。イエスとマリアが結婚をして娘が生まれ、子孫がいるというお話はインパクトがあるだけに、聖書を信じる者にとってはショッキングなお話だったのではないでしょか。マレーネ・デートリッヒの名前の由来も、イタリア映画「マレーナ」もマグダラのマリアからとられているそうです。

フィクションであることを前提に観ればパズルの謎解きとして十分楽しめるかもしれません。ルーブル美術館(かなりがセットらしいですが)や、夜の美術館のガラスのピラミッド、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」「岩窟の聖母」「モナ・リザ」など名画の数々にはうっとりさせられました。ロケーションもフランス、イギリス、マルタ島と広範囲でウェストミンスター寺院やテンプル教会、ロスリン礼拝堂など美しい建物も多く出てきます。ラッセ・ハルストレム監督の「ショコラ」でも神父を演じたアルフレッド・モリーナは今回もアリンガローサ司教を演じていましたね(笑)日本は民族間の対立がなく、気候も温暖なので信仰はそれほど必要とされないかもしれませんが、人が生きていく上で出会うであろう困難や苦しみはどこの国の人にとっても同じだと思います。信仰があればどんな状況に置かれても、それは神さまの御心と思って平安な気持ちで過ごすことができると私は信じています。

2006.7.12

2006.6.28

2006.6.14

2006.6.7

ポセイドン

POSEIDON/2006・米
監督/ウォルフガング・ペーターゼン
出演/カート・ラッセル ジョッシュ・ルーカス
    リチャード・ドレファス エミー・ロッサム
    マイク・ボーゲル ミア・マエストロ
☆☆☆

ポセイドン号からの生還
北大西洋を航行中の豪華客船ポセイドン号は大晦日の夜、巨大波ローグウェーブに襲われ転覆する。船が上下逆さまになり、プロのギャンブラー、ディラン・ジョーンズ(ジョッシュ・ルーカス)は船長の反対を押し切って船からの脱出に賭ける。そんな彼に元NY市長ロバート・ラムジー(カート・ラッセル)ら10人が彼と行動を共にする。

34年前に「ポセイドン・アドベンチャー」を観ましたが、その時の感動は今でもはっきりと覚えています。パニック映画というよりも、素晴らしい人間ドラマとして私にとっては生涯忘れられない映画の1つです。リメイクの「ポセイドン」はオリジナルを越えることはないだろうと思いながら観てましたが、思ったとおりでした(笑)CGの映像は迫力があるし、演技陣に不足はないのですが‥。監督のW・ペーターゼンはアイデアだけ同じでストーリーは新しいものと言っているので、実際リメイクというより別の作品を観ているように思えました。オリジナルは牧師がヒーローだったので、聖書的なせりふが多いのに対して、今回は家族愛や人情話だけなのもちょっと物足りない気がします。

ポセイドン号の外観の豪華さは比較にならないほどです。波や炎、34万リットルの海水がホールになだれ込むシーンの迫力はすごいのに、サバイバルの人間ドラマが胸に迫ってこないから、CGが見事でも後に残るものが少ないのが残念。オリジナルではロビン少年が(中で遊んでいたので)船の内部に詳しかったですが、今回もロバートやディランが機械や船に精通していたのが救いの道につながっています。最後の脱出劇やボートに乗ってからもまた一難があって、全体的に現代的な趣向が凝らされています。オリジナルの主題歌が歌われるのはオリジナルへのオマージュだと思います。現代版としてなら楽しめるのではないでしょうか。

LIMIT OF LOVE 海猿

LIMIT OF LOVE 海猿/2006・日
監督/羽住英一郎
出演/伊藤英明 加藤あい 佐藤隆太 
    大塚寧々 時任三郎 吹越満
☆☆☆☆

信じること、愛することで救える
海上保安官、仙崎大輔(伊藤英明)は鹿児島航空基地の最前線で働いていた。遠距離恋愛中の伊沢環菜(加藤あい)はお手製のウェディングドレスを持って鹿児島にやって来る。でも仙崎はすぐには結婚にOKの返事ができない。翌日大型フェリー「くろーばー号」座礁の知らせが入る。乗客全員が救助されるが、仙崎と吉岡哲也(佐藤隆太)、乗客の海老原真一(吹越満)と妊娠5ヶ月の本間恵(大塚寧々)が二階の船室に閉じ込められる。

この作品のヒーローは海上保安官の潜水士で、彼らのような職業は現実に存在しているところがとてもリアルでした。彼らの仕事がいかに危険で、時間との戦いであったり、とっさの判断が必要なことが理解できますね。映画は大輔と環菜のラブストーリーを中心に4人の脱出劇が繰り広げられますが、自分の仕事の限界を感じて結婚に踏み込めない大輔の切ない心情が脱出劇をより感動的に盛り上げていたと思います。あんなパニックの中でプロポーズをするのはちょっとと思いましたが、そこはやはりドラマを素敵にするために必要かなと思いました。恵のユーモアがみんなの緊張をほぐしていたところは良かったですが、これって人生にも通じることかもしれませんね。それにしてもあの体でよく持ちこたえましたね(驚)

大好きなシーンはあれだけの苦しい脱出の末にやっと救出された仙崎が、バディの吉岡を最後の力を振り絞って助けに行くところです。二人が手と手を握り合うシーンはほんとうに感動的‥。バディとは海で助け合う仲間という意味なので、まさに仙崎はそれを実行したのですね。彼の真直ぐで正義感あふれる行動は男らしくて惚れ惚れします。伊藤英明さんは地で演じてるのではと思うほどはまり役です。強靭な心身と繊細なルックスのアンバランスなところが魅力ですね。加藤あいさんも大輔への一途な気持ちを初々しく演じて可愛いです。海上本部の先輩たち(時任三郎、美木良助、石黒賢)もみんな正義感あふれる海の男達で、揃いも揃って大好きな俳優さんばかりです。船に閉じ込められた人は‘もう一度空を見たい’という気持ちだけで頑張ってるのですね。パニックの中に素晴らしい人間ドラマがあるのでとても気持ちよく感動できました。

親密すぎるうちあけ話
Confidences Trap Intimes/2004・仏
監督/パトリス・ルコント
出演/サンドリーヌ・ボネール ファブリス・ルキーニ
    ミシェル・デュショソーワ アンヌ・ブロシェ
☆☆☆☆☆

心の扉を開くのは誰
パリの街、ひとりの女性が薄暗いビルの中を歩いている。彼女の名前はアンナ(サンドリーヌ・ボネール)モニエ医師(ミシェル・デュシュソーワ)の診察室を訪れるつもりが間違えて税理士ウィリアムズ(ファブリス・ルキーニ)の部屋に入ってしまう。アンナは夫との生活の不満を語り始める。戸惑いながらも彼女の話を真剣に聞くウィリアム。こんな不思議な関係が何度も繰り返されやがて‥。

映画ファンと言っても映画通にはほど遠い私がパトリス・ルコント作品を語るのはおこがましいかもしれません。HPを持ってからサイトの方たちに教えて頂いて「髪結いの亭主」と「列車に乗った男」を観ました。どちらも恋愛や友情の味わい深い映画でしたが、今回もやはりルコントテイストが感じられる粋な恋のお話です。ウィリアムとアンナの出会いから興味津々。正規のルートでなく部屋を間違えられて、あげくに夫婦の悩みをうちあけられた時の税理士さんの困惑の表情‥。最初からミステリアスなんだけど、どこかユーモラスな味もあってつい微笑んでしまいます。アンナの煙草を持つ手や話をする時のしぐさがとても魅力的。ウィリアムも夫婦の秘密話にまんざらでもないって風情が可愛いです。でも何度もこんな関係を続けられるのは、二人がひとめぼれの相思相愛だったからでしょう(笑)

アンナが最初は地味で平凡な洋服を着ていたのに、だんだん色や生地がお洒落になって、顔の表情も明るく美しく変わるところは他人事ながら自分のことのように嬉しいです。ウィリアムも彼女のことに親身になるあまり、モニエ医師に相談したり、鏡の前でダンスに興じ、棚のほこりをきれいに拭いて心境の変化があったり。恋はほんとうにマジックですね。二人はお互いにセラピストの役目をはたしていたのでしょうか?ミステリアスな音楽がこれらの出来事にとてもマッチして最後まで引き込まれました。ラストに南仏でバレエを教えるアンナの輝きが素晴らしいです。ウィリアムに「夢の実現に年齢はないよ」と言われたことが彼女に勇気を与えたのですね。最後の余韻も大好きです。人間を本当に幸せにするのは名声や富や人類愛ではなく、男女の愛なんだというルコント監督の思いが込められて素敵。


カーズ
Cars/2006・米
監督/ジョン・ラセター
出演/ライトニング・マックウィーン
    ドック・ハドソン サリー メーター
    フィルモア サージ ラモーン ルイジ
☆☆☆☆

レーサー マックィーンの旅
天才レーサー、ライトニング・マックィーンはピストン・カップのチャンピョンの座を狙っている。ライバルはキングとヒッチ・コックス。マックィーンは自分の力だけでレースに勝てると信じていた。快調なレース運びで勝利目前、でもゴール直前でタイヤがパンクしてしまう。3台が同着のため、決勝レースが1週間後カリフォルニアで行われることになった。マックィーンは専属トレーラーに乗り、ハイウェイを走っている途中、暴走族のいたずらでハイウェイにひとり取り残されてしまう。マックィーンは無事カリフォルニアに行くことができるのだろうか?

今回のディズニー・PIXAR社の主人公は車なんですね。私は車は車種も覚えらなくて安全に移動できればいいくらいのこだわりしかないので、作品中の色も形も千差万別の素敵な車について詳しく語れないのが残念です。それにしても出演車(?)がどれも同じ車種でなく、キャラクターもそれぞれユニークで楽しいです。人間がひとりも出てこないで、サーキットの観客や虫たちまでが車なんですね。豆つぶのような観客の車の動きがひとつひとつ丁寧に描かれて見事です。ディズニーは今までミッキー・マウスやドナルド・ダック、像のダンボ、クマのプーさんと大スターを育てていますが、車がこんな風にハートを持って語りかけることができるなんて素晴らしいです。

ストーリーは子供から大人まで楽しめますが、これから社会に巣立っていく子供たちに人生は勝つことだけを目標にしてはいけないと教えてくれています。今まで順風満帆に進んでいた人が病気をして人々の優しさに触れ、良い仲間に出会える話に似ていますね。マックィーンとメーターとの友情、サリーとの淡い恋、父親のようなハドソンとの関係がマックィーンの成長に欠かせない存在。社会に出た時の他者との触れ合いで社会のルールを学んでいくところがとても感動的に描かれています。壊したものは自分で責任を取る、友達との約束は守る、弱い立場の人、傷ついた人を大切にしてあげる‥社会は自分の力だけで生きてるのではないと教えてくれます。サーキットのレースシーンはもちろん、グランドキャニオンのような壮大な景色やさびれたラジエーター・スプリングスの町の描写がダイナミックにでも繊細に描かれていて、映像も素晴らしいです。アメリカは広大でスピードが要求される国、車社会のアメリカならではの作品だと思います。

2006.7.30