ワールド・トレード・センター
WORLD TRADE CENTER/2006・米
監督/オリバー・ストーン
出演/ニコラス・ケイジ マイケル・ペーニャ
    マギー・ギレンホール マリア・ベロ
☆☆☆☆

9・11 愛と勇気の物語
2001年9月11日、世界貿易センターのツインタワーに旅客機が激突する。港湾局警察では班長のジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)他多くの警察官たちが救出にかけつける。地下1階で待機している時に突然タワー崩壊が始まり、マクローリンと警察官のウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)が瓦礫の下敷きになってしまう。彼らはお互いに励まし合いながら、救援を待ち生還を信じていた。二人の妻アリソン・ヒメノ(マギー・ギレンホール)とドナ・マクローリン(マリア・ベロ)は夫の安否を気遣う。

「ユナイテッド93」も「ワールド・トレード・センター」も実話が基になっていますが、前者がドキュメンタリータッチなのに対し、後者は友情や家族愛のドラマになっているので同じ事件がテーマとは思えなかったです。ニュースの多くは悲劇の場面が報道されていたので、残された遺族の気持ちを思うととても可哀相でした。でもこうやって奇跡的に救出された人達がいたことを知って嬉しかったし、暗闇に光を見たように思いましたね。マクローリンとヒメノ本人も映画に出演していますが、現実には映画の100倍は怖かったそうです。二人共命を落とさずにいられたのは、幸運が重なっただけでなく、神の奇跡が働いたとしか思えないです。たった一人で耐えるのでなく、お互いに声をかけ合い、励まし合えたことが二人にとって大きな支えになったのでしょう。

夫の安否を気遣う家族の様子も丁寧に描かれていましたね。もし自分が彼女達の立場に立たされたら、どんな気持ちで待っているだろうか‥最悪のことを考えた時、平常心でいられるだろうかとあれこれ考えながら観ていました。妻たちもひとりぼっちで夫の帰りを待っていたら心配で身の置きどころがなかったかもしれないけれど、家族や友人の存在が救いになっていましたね。救助隊の人たちの勇気にも感動しました。彼らにも大切な家族があるのに、命がけで二人を救出する姿は仲間を助けたいというよりも、人間としての使命感がそうさせたのでしょう。‘私に何かあったら家族によろしく伝えてくれ’の言葉が忘れられないです。アリソンが病院で行方不明の人々の写真を見て歩く場面も印象に残っています。テロは人間の残酷な行為を知らされますが、一方では命を挺しても人を救おうとする尊い心も知ることができました。9・11の2作品を観て、戦争もテロも世界から根絶してほしいと痛感しました。

2006.11.19

2006.10.18

イルマーレ
THE LAKE HOUSE/2006・米
監督/アレハンドロ・アグレスティ
出演/キアヌ・リーブス サンドラ・ブロック
    クリストファー・プラマー 
☆☆☆☆ 

愛は時を越えて‥
2006年、ケイトフォスター(サンドラ・ブロック)は湖の一軒家から引っ越すことに。荷物をまとめ家のポストに次の住人へメッセージを残した。2004年、湖の家に住むことになったアレックス・ワイラー(キアヌ・リーブス)は手紙を読み内容に半信半疑だが、次々に起きる不思議な出来事に信じざるを得なくなり、ふたりの文通が始まる。韓国映画「イルマーレ」のリメイク。

やはり順番としてオリジナルを先に観ましたので、スムーズにストーリーに入って行くことができました。冒頭のシーンは大切なので(変えると後が続かない)ほとんど同じでしたが、ケイトの仕事やふたりの出会いはかなり違っています。ケイトは運命をつかみ取っていく積極的な女性として描かれていますね。女医なので交通事故のシーンも上手く取り入れられて、オリジナルではっきりしなかったところが明白になっていてすっきりしました。オリジナルは海がテーマになっていますが、リメイクは舞台がシカゴの街で待ち合わせのお店の名前がイルマーレです。だから原題は「THE LAKE HOUSE」なんですね。シカゴの街並みが美しくオールドコロニー、リグリービルなどの建造物が素晴らしかったです。人気のレストラン「パーク・グリル」がイルマーレとして使われているそうですよ。映像は韓国版は押さえた色調で幻想的なのに対し、色彩が華やかなのが米国版。ワンちゃんが可愛いのは同じでした(笑)

ケイトやアレックスの家族や友人のキャラクター描写が丁寧に描かれていて、特にアレックスと父親の確執が胸に迫りましたね。クリストファー・プラマーはダンディーで上品な紳士役が似合います。キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックは相性が良いので安心して見ることができました。オリジナルよりは年齢が高いので、孤独を抱えた大人のラブストーリーになっていましたね。でもふたりの笑顔がほとんど見られなかったのがちょっと残念かな‥。kissシーンはありましたけど。ファンタジックなラブストーリーと言えば、「シティ・オブ・エンジェル」や「ゴースト・NYの幻」、時空を越えた愛は「NYの恋人」を思い出しますが、「イルマーレ」はハッピーエンドなので観終わった後は幸せな気持ちになれますね。同時期に両作品を観ましたので、どうしても比較してしまうのは良くないですが楽しかったです。韓国版は東洋ならではの美しさがあって大好きですが、ハリウッド版もとても好感の持てるリメイクだと思います。

2006.10.25

プラダを着た悪魔
THE DEVIL WEARS PRADE/2006・米
監督/デヴィッド・フランケル
出演/メリル・ストリープ アン・ハサウェイ
    エミリー・プラント スタンリー・トゥッチ
☆☆☆☆ 

ファッション界の舞台裏
ジャーナリスト志望のアンディことアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)はNYにやって来る。手始めにファッション雑誌‘ランウェイ’の編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)のアシスタントに応募する。ミランダはファッションセンスのないアンディを見て呆れるが、仕事ができそうなところを見込んで採用する。しかし翌日からは想像を絶する試練の日々が待ち受けていた。

原作はヴォーグ誌女性編集長のアシスタント経験のあるローレンス・ワイズバーガーの同名本です。ファッションは男女を問わず興味がありますが、特に女性がお洒落を楽しみたいというのは自然な女心ですね。好きな色とデザインで(私の場合)欠点をカバーしてくれるような洋服を見つけた時は嬉しいです。アンディの華やかな容姿とスタイルはプラダ・グッチ・クロエ・シャネルなどのブランドがお似合いで、学生風スタイルとは別人のよう‥恋人は以前の洋服の方が好きだと言っていましたが。この作品は俳優さんたちのファッションを楽しむことと、アンディがミランダからアシスタントとして有能かどうかためされ、ファッション界の舞台裏を知る成長物語と言うと怖そうですが、どのエピソードも驚きはあってもユーモアとウィットに富んでいるのでとても楽しく観れました。嵐の中飛行機を飛ばせとか、出版前の原稿を手に入れろとか、机の上に毛皮のコートを投げつけたり‥無理難題を押しつけるミランダは鬼か悪魔に見えること間違いなしですね(笑)

新入りのアンディが先輩のエミリー(エミリー・ブランド)の先を越すようなことも実力主義の世の中とは言え厳しいです。落ち込んだ時に励ましてくれるナイジェル(スタンリー・トゥッチ)のような上司の存在は貴重ですね。憧れのファッション界も中に入れば様々な陰謀があって、それを知ったアンディはあっさりと職場を放棄してしまいますが、本当にこの業界で頑張りたいのなら、ちょっともったいないかもしれません。案の定代わりはすぐに見つかっていました。ジャーナリスト志望なので新聞社に就職したのは賢明かもしれませんね。何よりも恋人との仲が元に戻った?ことがいちばんの幸せだったのではないでしょうか。メリル・ストリープはさすが演技派女優さんで、怖い中にもどこか優しさ、弱さも見せて全然憎めなかったです。ドレス姿も気品と大女優の風格が感じられて素敵でした。アン・ハサウェイは外見の華やかさに目が行きがちですが、聡明さ、美しさがしぐさや表情に出ていてとても魅力的。メリル、アン、エミリーは本名と役名が微妙に似ている粋な演出も、お洒落で楽しいファッション映画らしいです。