戦争によって相思相愛の夫婦が別離を余儀なくされる‥戦争がもたらす男女の
悲劇を描いた不朽の名作です。前半の明るさと後半の悲しみのコントラストが
より戦争の悲惨さを深いものにして涙をさそいます。

前半のナポリでの結婚生活は回想シーンです。アントニオ(マストロヤンニ)と
ジョバンナ(ソフィア)は兵役までの14日間をいつくしむように過ごしています。
アントニオが作った大きなオムレツ(卵20個くらい?)を食べるシーンは見てる
こちらまで満腹になりそうです。アントニオがイヤリングを飲み込んだり、残りの
オムレツを捨てようと思うと母から籠いっぱいの卵が置いてあったり(笑)とても
ユーモラスで微笑ましいです。母に対する愛情も細やかですね。
兵役を逃れようと病気を装うけれど、失敗してロシア戦線に送られてしまいます。

後半は夫は絶対に生きていると信じてロシアに捜しに出かける悲しくも健気な
ジョバンナを描いています。戦死者の墓地や土の下に多くの兵士や農民たちが
眠っているひまわり畑を通り過ぎるシーンはデ・シーカ監督の映画に対する心意気
を感じさせる、美しくも悲しいシーンで胸に迫ります。やっとの思いで彼の居所を
見つけると、すでに妻マーシャ(リュドミラ)と娘がいると知った時のジョバンナの驚き
と悲しみ‥帰国してからも嘆き悲しむ体当たり演技のソフィアが素晴らしいですね。
瀕死のアントニオを助けて尽くしているマーシャ、、そしてアントニオもまたずっと
苦しんでいたに違いない心情を考えると、戦争が如何に残酷なものかを思い
知らされます。

アントニオがナポリに毛皮を持ってジョバンナに会いに行っても(泣けますね〜)
すでにジョバンナにも息子がいて(ソフィアの実の息子が出演!)お互いに別離を
悟るのです。ナポリ駅で再びアントニオを見送るジョバンナの目には大粒の
涙が‥プロローグの広大なひまわり畑とヘンリー・マンシーニの物悲しい
メロディーがラストで蘇ります。

東独からアリゾナに亡命したシスター5人と青年ホーマーの心温まる
ヒューマンドラマです。エーメンの歌が流れる中、ホーマー(ポワチエ)の車が
修道院の前でエンストしているプロローグから引き込まれますね。
水をもらったお礼に屋根の修理(報酬を期待して)をすることになりますが
修道院の質素な食事に不満な彼は大量の食料品を買い込んで
院長に怒られるなどユーモラスなシーンが随所に織り込まれています。
ホーマーが英語やエーメンの歌を教えるシーンは微笑ましくて大好きです。

シスターたちに教会を建てて欲しいと頼まれ頑固に断っていた彼も
院長たちの熱意に負けて一人で建て始めます。お金は授かり物とシスターから
教えられ孤軍奮闘していると、町の人達から寄付金やレンガなどが届き
仕事も手伝ってもらいついに教会が完成します。彼は十字架の下に自分の
名前を入れるのですが、完成式の前夜エーメンを歌いながら教会を去って行きます。

映画全体が説教臭くなく、さらりとユーモラスに描かれている秀作です。
聖書マタイ伝の“野のユリ”の言葉を読むシーンはこの作品のテーマになっています。
小学生の時、学校の映画鑑賞で観て子供なりに感動した記憶がありますが
今回“野のユリ”の深い意味を再確認できてとても嬉しかったです。

チュンは北京でコンクールを受け5位に入賞します。でもコンクールの裏事情などを
知り、良い先生について息子を世に出してやりたいと言う父親の願いに報いようと
少年も一生懸命練習に励みます。ちょっと頼りないチアン先生(ワン)に見切りを
つけて、著名な先生(カイコー)の弟子になりますが、ライバルの女性に先生の
名声欲を知らされとても動揺します。そして自分の生い立ちを知ったラストは
チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」をバックに愛する父親の元に戻っていきます。

ホット・ロック

The Hot Rock

監督 

ピーター・イエーツ

ロンドンの公認会計士チャールズ(マイケル)と妻ベリンダ(ミア)、探偵クリストフォル
(トポル)の自分探しと3人のほのぼのとした人間模様が素敵に描かれています。
レストランで知り合い音楽や絵画の話で心を通わせたふたりが結婚をして後、
妻の行動に不振を抱き始めたチャールズは探偵に妻の素行調査を依頼します。

クリストフォルは10日間ベリンダの尾行を始めるが、いつも独りで出掛け、
レタス帽子(可愛い!)を買ったり、ホラー映画2本立てを観たりして1日を過ごす
彼女を優しく見守ります。ベリンダの大好きなペパーミント・パフェ(美味しそう〜)を
自分も注文して、恋愛映画を勧め、イルカショーで楽しいパフォーマンスを披露している
うちにいつしかふたりの仲が接近して行きます。結婚しても夫婦はいつもときめきや
新しい発見、成長を求めていたベリンダにとってチャールズの束縛は負担でした。
そんな彼女にとってクリストフォルの優しい笑顔や行動がとても新鮮だったのかもしれ
ません。クリストフォルもベリンダに会って自己発見が出来たことを心から感謝します。

でもベリンダはやはり堅実なチャールズのことを愛してると察したクリストフォルは
夫婦の危機を救う探偵になることに情熱を傾けます。そしてチャールズに
自分と同じように10日間彼女を尾行することを命じます。自分の白いコートと帽子を
身に着けて‥。船の上でさりげなく目を合わす二人の表情は明るい未来を
予感させてくれます。芸達者なトポルと可愛らしいミアと誠実なマイケル
3人のコラボレーションが絶妙ですね。哀愁漂うジョン・バリーの音楽と味わいある
せりふの数々がとても素晴らしいです。
   

母の形見のヴァイオリンを弾くのが得意であったチュン少年(タン)の父(リウ)は
彼を一流のヴァイオリニストにするのが夢でした。少年の弾くヴァイオリンの音色は
美しくて聴く人の心を和ませ、癒します。

出演

ロバート・レッドフォード ジョージ・シーガル ゼロ・モステル

「スティング」の少し前に制作された、粋でお洒落な犯罪映画です。
ひとつのダイヤモンドをねらって3度も泥棒を繰り返すという発想が可笑しいけれど、
随所にユーモアを配したサスペンスがとても痛快です。

4年間の服役を終えたドートマンダー(レッドフォード)は早速隣国のダイヤを盗む
ように依頼されます。いとこのケンプ(シーガル)とブルックリン博物館に展示されて
いる巨大なダイヤを盗むべく綿密な計画が練られます。

チュン少年の父の愛情と音楽の間で揺れ動くラストは感動的です。
リリ(チェン)は少年の音楽に癒され、少年はリリに母の面影を重ねるのでしょうか。
ヴァイオリンの名曲の数々が素敵で、悲しい時にはとても勇気づけられますね。

腕利きの運転手や爆弾づくりの名人を引き入れて博物館に侵入するが、逃亡中に
捕まりダイヤを飲み込んでしまうと、仲間がヘリコプターでビルの屋上に降りて救出
を企てます。
そのダイヤが貸し金庫に保管されてるのを知ると、ドートマンダーは
「アフガニスタン・バナナスタン」と言う合言葉でまんまとダイヤを手に入れることが
できます。レッド・フォードが楽しそうにニューヨークの通りを歩いているラストは
観てる者まで気分爽快になります。
どんな場面でも冷静さを失わない美しいレッドフォードがとても魅力的です。

北京ヴァイオリン

監督  チェン・カイコー

出演  タン・ユン リウ・ペイチー チェン・ホン ワン・チー・ウェン

西暦859年、中国の唐の時代の皇帝とその反対勢力で貧者の味方「飛刀門」との
戦いと、盲目の踊り子と二人の官吏のラブ・ストーリーの“武侠アクション”作品です。
冒頭の金(金城)が牡丹坊で遊びに興じる場面が素晴らしいです。部屋の装飾や
小妹(チャン)や踊り子たちの衣装の色彩も美しく豪華絢爛な舞踏に酔わされます。
この場面は言葉で上手く表現できないので、是非スクリーンで観て楽しんで頂きたい
ですね。この華麗な場面から一転、小妹は牢獄に監禁されるのですが、その後
金と小妹の逃避行が描かれています。竹林の中での戦いは、ワイヤーアクションを
取り入れた息を呑むような見事なシーンの連続です。

この逃避行の裏にはいろいろ策略が仕組まれていて、ストーリーも二転三転と
一筋縄には進まないのですが、二人の愛情が騙し騙される中から少しずつ芽生えて
行くところが、醍醐味となって引き込まれます。劉(アンディ)と小妹の関係も後に
明らかにされますが、ラストの雪山(紅葉から雪に変わる場面が秀逸です)での
小妹を巡る金と劉の戦いも、芸術的で色彩美を感じます。

チャン・ツィイー 金城 武 アンディ・ラウ、それぞれが持ち味を発揮してとても
魅力的でした。前半の赤と青、後半の緑と白という風に色彩と映像の趣向が
凝らされています。「LOVERS」のタイトル通り、国家への大義の中での
三人の愛が格調高く描かれていて、「HERO」よりは女性向けかもしれませんね。
中国の伝統楽器、二胡のメロディーが叙情的に流れていて、人間ドラマを
盛り上げていたと思います。

野のユリ

LILIES OF THE FIELD

監督  ラルフ・ネルソン

出演  シドニー・ポワチエ リリア・スカラ リサ・マン アイサ・クリ

フォロー・ミー

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監督 キャロル・リード 

出演 ミア・ファロー トポル マイケル・ジェイストン




ひまわり

Sunflower

監督 ヴィットリオ・デ・シーカ

出演 ソフィア・ローレン マルチェロ・マストロヤンニ リュドミラ・サヴェーリエワ

LOVERS

監督 チャン・イーモウ

出演 金城 武 アンディ・ラウ チャン・ツィイー ソン・タンタン