ターミナル      THE TERMINL

2004 米

監督 スティーブン スピルバーグ 

出演 トム・ハンクス キャサリン・ゼタ=ジョーンズ スタンリー・トゥッチ クマール・パラーナ

NYのターミナルを舞台にハートフルなドラマが展開されます。
東ヨーロッパの国、クラコウジアからニューヨークのJFK国際空港に着いたビクター・ナボルスキー(トム)は母国のクーデターにより
アメリカへの入国も拒否され、帰国も出来ずに空港内に住居を構えます。片言の英語しか話せない彼は「ニューヨーク案内」母国語と英語版で特訓をして少しずつコミュニケーションが取れるようになります。清掃員のお
じさんグプタ(イマール)と友情が生まれ、恋のキューピット役になったり、建設の腕を見込まれて仕事を得たり、ロシア人の緊急事態を咄嗟の機転で救ったりしてターミナルのヒーローとして愛されるようになるのです。フライト・アテンダントのアメリア(キャサリン)と素敵な恋の花を咲かせて心ときめく時間も過ごせます。そしてカバンの中にはピーナッツ缶が…彼には亡き父との大切な約束があったのです。

スピルバーグとトム・ハンクス3作目の映画は笑いあり涙あり‥それぞれのエピソードが決して重くならずユーモラスに描かれているので肩の力を抜いてファミリーで楽しめる作品です。ネットでは賛否ありますけど、私は賛の方です(笑) トムは暖かいキャラクターを演じると右に出る人はいないと思います。今回,、英語と母国語を話すという役は大変だったのでは?(親戚のブルガリア人のアクセントを参考にしたそうですが上手でしたね)。キャサリンことゼタ姐さんが可愛くてとてもチャーミング。「シカゴ」も素敵だったけれど‥ 警備局主任、フランク・ディクソン(スタンリー)が独特の持ち味で魅せてくれましたね。「Shall we ダンス?」がますます楽しみになりました!

空港はオール・セットでエスカレータが4基、ボーダーズ、ヒューゴ・ボスなど実在の35店舗は素晴らしいの一言です。
実際のJFK国際空港は教会、学校、保育園まで完備され、働く人々は3万5千人以上‥ひとつの町と言っても過言ではありません。
そしてナボルスキーがベニ・ゴルソン本人にサインをもらうラストシーンはほのぼのとして、音楽ファンには嬉しいシーンでした。(ゴルソン氏の暖かい人柄も素敵‥) 空港の中でも彼のテナー・サックスが流れています。ナボルスキーは9ヶ月待った甲斐がありましたね〜。空港の中で彼が受けた恩と与えた恩は素敵な思い出以上に生涯の宝物になるかもしれません‥



Mr.インクレディブル   THE INCREDIBLES

2004 米

監督 ブラッド・バード

出演 インクレディブル一家 フロゾン ミラージュ シンドローム

Mr.インクレディブル、インクレディブル夫人、ヴァイオレット、ダッシュ、ジャックジャックのスーパーファミりーが悪に立ち向かう
アクション・アニメです。かつてはスーパーヒーローとして社会に貢献していたMr.インクレディブル(ボブ)は国の政策のために引退を
余儀なくされ、保険会社のサラリーマンとし
て働いています。妻(ヘレン)は元スーパーレディのイラスティガールで3人の子持ち。
夫妻はもちろん、子供たち全員スーパーパワーがあるので一般市民としての生活に不満を抱えています。そんな時ボブにミラージュ
(政府の極秘部門)からスーパーヒーローとしての仕事の依頼が入ってきます。彼は家族に内緒で指令された島に向かうのですが‥。

全編スピードのあるストーリー展開で一気に楽しめました。すごい迫力ですね(笑)アニメと言えどもそれぞれのキャラクターに感情移入
できましたし、森や都市の風景もダイナミックに描かれていてビジュアル的にも美しいです。ミラージュがボンドガール風な007や
スターウォーズ、インディー・ジョーンズを思わせる場面やスーパー・パワーを使うシーンはわくわくさせられますね。猫を助けたり電車を
脱線から救ったりするMr.インクレディブルの強さはもちろん、夫人の伸びる手足(便利ですね〜笑)はびっくりしました。冒険の後に
ダッシュがますます逞しくなり、ヴァイオレットはお母さんから“あなたを信じてるわ”と励まされてはつらつとなっていくところも素敵!
末っ子のジャックジャックのスーパーパワーは最後に明かされますがこれは観てのお楽しみ(笑)

夫人の声がホリー・ハンターとは思えなかったけど、フロゾンのサミュエル・L・ジャクソンの声はすぐに分かりましたね。特徴ありますもん。
大切な人を守りたいと思った時はいつもの何倍もの力が出るでしょうから、誰でもスーパーヒーローになるチャンスはあるのかもしれませんね。
CGアニメと言えば「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」など動物が主人公の作品が多いけれど、「Mr.インクレディブル」は初めて
人が主役のドラマですが、人間くさくならずにちゃんとアニメとしての楽しさも堪能できて、やはり劇場で観て良かったです。


ネバーランド   FINDING NEVERLAND

2004 米 英

監督 マーク・フォスター

出演 ジョニー・デップ ケイト・ウィンスレット ラダ・ミッチェル ジュリー・クリステル

「ピーターパン」の誕生秘話の物語です。
1903年、ロンドンのデューク・オブ・ヨーク劇場で劇作家ジェームズ(ジョニー)の「リトル・メアリー」の公演が不評でした。ある日ジェームズは公園で未亡人シルヴィア(ケイト)と4人の子供たちとの運命の出会いを果たしますが、三男のピーターが一人だけ遊びの輪に入れないのです。そんな彼に愛犬とダンスをして喜ばせてあげたりして、ジェームズと家族の絆が深まります。彼はピーターの中に自分の姿を見出して「ピーター・パン」という新作を書き始めます。家族との交流の中でアイデアは次々と生まれ、初日の公演は大成功を収めます。

多くの人々に愛されている「ピーター・パン」の作家がジェームズ・バリということと、事実に基づいたお話というのを今回知ってびっくりしました。映画は実話とおとぎ話が交錯していて静かに語られる綺麗な絵本のように心温まる物語ですね。でも見終わった後に感動の余韻に浸れなかったのはちょっと残念でした。映画の中でも少し描かれている「ネバーランド」とはこの世に決して存在しない国という意味ですが、解釈は様々ですね。天国のような、偏見、差別のない、争いのない、決して年をとらない‥などなど。原題はFinding Neverland 、ネバーランドを見つけること‥なんですね。

ジョニー・デップの表情が豊かで(決してオーバーでなく)お茶目だったり、紳士的だったり、時には包容力のある彼を十分堪能できたのは嬉しかったですね。シルヴィアの母、デュ・モーリス夫人を演じたジュリー・クリスティは「ドクトル・ジバゴ」の時の気品と美しさがそのままで素晴らしかったです。「ダーリング」を観たくなりましたよ。そして子役たちの可愛くても凛とした姿に心が洗われました。バリ自身、とても純粋で少年のような心を持っていたので、大人から子供まで愛されている「ピーターパン」という名作が生まれたのではないでしょうか。感じ方は観る人それぞれに委ねられる作品だと思います。


オペラ座の怪人   THE PHANTOM OF THE OPERA

2004 米

監督 ジョエル・シュマッカー

出演 ジュラール・バトラー エミー・ロッサム パトリック・ウィルソン ミニー・ドライバー

アンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカル「オペラ座の怪人」の映画版です。
1919年、華やかかりしパリ・オペラ座を偲ぶ品々のオークションが劇場内で開かれ、惨劇となったシャンデリアのベールが取り払われると1870年のパリにタイム・スリップします。この頃オペラ座では「ハンニバル」のリハーサル中で、プリ・マドンナのカルロッタ(ミニー)の頭上に背景幕が落ち、怒って役を降りたカルロッタの代わりを務めたのがバレエ・ダンサーのクリスティーヌ(エミー)でした。公演は大成功を収め、幼なじみのラウル(パトリック)とも再会でき幸せに浸っていた矢先、クリスティーヌはファントム(バトラー)にさらわれ地下の部屋に連れ去られてしまいます。クリスティーヌはファントムを“音楽の天使”と信じ彼の才能に惹かれます。でも彼の正体を知った時、彼の孤独と自分への憧れを知りますが、戸惑いながらも彼に愛情を抱き大人の女性へと目覚めていきます。

原作はガストン・ルルーでその後多くのミュージカル、映画が作られていますが、私も劇団四季の公演をはじめ、香港版「逢いたくて、逢えなくて」など6〜7作品観てますがスクリーンで観たのは今回初めてです。映画ならではのダイナミック映像と豪華なセットに圧倒されましたね。現在と過去のパリが交錯するシーンは「タイタニック」を思い出してしまいました。猿の置物や真紅のバラなど小物の使い方も素敵です。でも何と言ってもジェラルド、エミー、パトリックの吹き替えなしの歌が素晴らしかったです。「OVERTURE」「THINK OF ME」「ANGEL OF MUSIC」など音楽の持つ神秘や魔性が込められている感動的な名曲の数々‥ 特にエミーは7歳からオペラの舞台に立っていたので高音の延びはさすがです。

アンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカルははホラーでなくラブ・ストーリーとして描かれているので、多くの人々の心をとらえ長く愛され続けているのではないでしょうか。ラストにファントムが怒りを現すシーンは彼の心情を察して涙が出てしまいました。ファントムの持っている心の闇は誰でも大なり小なり持っているもの‥だからこそ人は信仰が必要なのではないかしらと思ってしまいます。神様は光ですから‥近代医学の発達した今なら、ファントムのコンプレックスもきれいに治せたかもしれないと思うと可哀想です。ラスト年老いたラウルとマダム・ジリーのファントムとクリスティーヌの恋を哀しく回想するシーンも胸に響きましたね。


Ray/レイ   Ray

2004 米

監督 テイラー・ハックフォード

出演 ジェイミー・フォックス ケリー・ワシントン レジーナ・キング シャロン・ウォレン

ソウル・ミュージックの神様、レイ・チャールズの感動的な伝記です。
物語は1948年、17歳のレイ・チャールズ・ロビンソン(ジェイミー)がフロリダからシアトル行きのバスに乗るところから始まります。ジョージア州で生まれたレイは母と弟の3人暮らし‥ある日弟ジョージの溺死を助けられず生涯のトラウマになってしまいます。その9ヶ月後、7歳でレイは視力を失います。シアトルで音楽の才能を認められ仕事につきますが、ここで生涯の親友、クインシー・ジョーンズと出会いますが、盲目というハンディを利用する仲間とけんかをして町を出ます。1950年、アトランティック・レコードのアーメットと出会いレイの歌は物まねと指摘され、オリジナルなものを追求します。神聖なゴスペルで恋の歌を唄い不謹慎と言われますが、後にゴスペルとR&Bを融合させたソウル・ミュージックが誕生します。1953年、レイはゴスペル歌手デラ・ビー(ケリー)と結婚をして子供にも恵まれますが、同時に外の愛人との生活も営んでます。そして仕事のストレスからヘロインに手を出して中毒になってしまいます。1959年、「What'd I Say」が大ヒットして“音楽の神様”と呼ばれるようになります。1960年、「Georgia on my mind」‘我が心のジョージア’がグラミー賞を受け、多くのツアーを行います。1962年「I Can't Stop Loving You」のヒットで豪邸も手にいれます。でもヘロイン中毒から抜け出せなくて、妻のビーにやめないなら家を出て行くと言われ、大切なものを失い始めたことに気づいたレイは更正施設に入って病気を克服します。1979年、‘我が心のジョージア’はジョージア州の州歌となり彼は晴れ舞台に立つのです。

独特な歌い方と共に多くの人たちに愛されているレイ・チャールズの名曲の数々‥この作品中40曲もの曲が流れますが、その1曲1曲に彼の苦しみ、喜びが込められていて、彼のたどってきた人生と共に愛さずにはいられないですね。家族を愛し、女性を愛し、故郷を愛したレイの音楽‥耳で見ることを学んだ彼は音楽はもちろん、女性は手首をさわって、親友は耳と手の感覚でいつも選んでいたのです。心まで盲目にならないで、憐れみを受けないで自分の力で生きなさい、私が死んでもお祈りは忘れないで、という母の言葉が悲しい時、苦しい時のレイの心の支えになっています。弟を救えなかったというトラウマから抜けられず、ずっと苦しんでいたレイも‘我が心のジョージア’を歌うことで心の平安を得ていたのでしょう。

ジェイミー・フォックスの演技はレイの魂が乗り移ったようで感動しました。彼の演技はレイのお墨付きだったそうですが、ピアノも歌も演奏スタイルも堂に入ってお見事!レイもジェイミーも人生に真摯に向き合っている姿が潔いオーラーに包まれていて惚れましたよ(笑)レイの生涯を誇張することなく事実を淡々と描いているのでとても誠実な作品に仕上がっていると思います。レイに会った人はみんな彼の人間的な大きさとカリスマのとりこになったそうです。黒人の解放や貧しい人達に愛の手を差し伸べ、12人の子供と多くの孫たちにも恵まれたレイ‥この作品でレイ・チャールズをとても身近に感じられたことが幸せです。73年のすばらしい人生と音楽をありがとう。


サボテンの花   CACTUS FLOWER

1969 米

監督 ジーン・サックス

出演 ウォルター・マッソー イングリッド・バーグマン ゴールディ・ホーン ジャック・ウェストン リック・レンツ

歯科医を巡って、若い恋人とお堅い看護婦が恋騒動を繰り広げるラブコメディー。
ニューヨーク5番街の歯科医ジュリアン(ウォルター)につれなくされ、若い恋人トニー(ゴールディ)は自殺寸前に隣室のイゴール(リック)に助けられます。ジュリアンはあわてて彼女の部屋に‥ついに結婚を申し込みます。トニーは奥様に会いたいと言い出すから大変!(彼は妻子がいると嘘をついていたので)。病院に勤める看護婦ステファニー(バーグマン)に一晩妻になってと頼みますが、つれなく断られます。でもステファニーは妻の振りをして、トニーの働くレコード店に行ってジュリアンと幸せになって欲しいと頼むのですが…。

全編洒落た会話とストーリーで、ラストはほのぼの楽しいロマコメに仕上がってます。キャストが絶妙で3人はもちろん患者に扮したハービー(ジャック)もなかなかの芸達者ぶり。嘘をつくとどんどん嘘を重ねるはめになる展開がとても可笑しいです。脚本が「アパートの鍵貸します」のI.・A・Lダイヤモンドなのでテイストが似ていると思います。音楽はクインシー・ジョーンズでメロディーがとても心地良いですね。ウォルターは男らしい役が多いのに今回は二人の女性に想われる役を男前に演じています。

びっくりしたのはバーグマン!お堅い看護婦さんからライトブルーのドレスに着替えてゴーゴーダンスを踊るシーンはあっけにとられましたが、やはり貫禄十分でさすが大女優さんです。ゴールディがピンクのスリッパでスタスタ歩いてくるシーンから始まりますが、表情やしぐさがとてもキュートで全編彼女から目が離せないです。離婚をすると奥様が可哀想と言って涙を流したり、付き合っている男性のことを心配してあげるところなど、可愛い性格を好演していますね。彼女の作品は今まで「永遠に美しく」(すごかった!)くらいしか観てないので他の作品もいろいろ観たくなりました。


素晴らしき哉、人生   It's A Wonderful Life

1946 米

監督 フランク・キャプラ

出演 ジェームズ・スチュワート ドナ・リード ライオネル・バルモア

人生に絶望した男性に奇跡が起きる珠玉の名作。
幼い頃から世界中を旅するのが夢だったジョージ(ジェームズ)。父親は住宅ローン会社の社長で、ジョージが念願の旅に出る寸前に急死してしまいます。後を継いだジョージは誠実に仕事をこなし、多くの友人たちに囲まれていました。愛するメアリー(ドナ)と結婚をして4人の子供にも恵まれます。でも仕事の方では会社が倒産しかかったり、叔父が大金を紛失して不運が重なります。将来に絶望したジョージは川に身投げをしようとするのですが、天使クレランスが天から降りてきて彼を助けるべく近づいて来ます。

タイトルは以前から良く知ってましたが、もう少し硬派な作品と思ってましたので、とても心温まるストーリーなのが意外でした。冒頭からファンタジックで夜空の神様の会話から始まるシーンがとても可愛くて引き込まれます。神様は何でもお見通しなんですね。心豊かに生きるジョージと利己欲の強いポッターの人間性を比較しているところも考えさせられます。良妻賢母のメアリーと誠実に仕事に励むジョージ‥どんなに正しく生きてもやはり現実はとても厳しい。そんな時にこそいつものお祈りを忘れず、深く神に祈りましょうという感動的なメッセージがありました。あなたの命は自分一人のものではない、家族や友人の祈りが彼を救ったところが素晴らしいです。

ヒッチ・コックの作品でおなじみのジェームズ・スチュアートはまだ38歳の若い頃の作品ですが、優しさと逞しさをエネルギッシュに見事に演じていました。ダンスもとてもお上手(笑) ドナ・リードは母性豊かで包容力のある女優さん。素敵ですね〜。2級天使のクレランスがユーモラスで温かいのでまさに救いの神様になっています。ジョージが自分が生まれなかった世界を見て、家族や友人の存在がいかに大切かを知ったのですが、クレランスの本には‘友のある者は敗残者ではない’と書かれていました。これからの人生の座右の銘にしたいですね。そして大切な人のことは毎日お祈りをしようと思います。