エターナル・サンシャイン   Eternal Sunshine   2004 米

監督 ミシェル・ゴンドリー  出演 ジム・キャリー ケイト・ウィンスレット キルスティン・ダンスト
                      トム・ウィルキンソン イライジャ・ウッド 

記憶を消した恋人たちの奇跡のラブ・ストーリー
バレンタイン・デー直前のある日、ジョエル(ジム・キャリー)は1通の不思議な手紙を受け取ります。「恋人クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)のあなたの記憶を全て消しました。彼女には二度と近づかないように‥ラクーナ社」ショックを受けたジョエルは自分も記憶除去手術を受けることに‥。ラクーナ社にクレメンタインとの思い出の品を持って行き、手術を受けるがつらい思い出と一緒に楽しかった思い出も全て消されてしまうのがとても悲しいのです。全てを消し終えて訪れるバレンタイン・デー。最悪の気分で目覚めたジョエルはモントークで見知らぬ女性に出会います。オレンジ色のパーカーとブルーの髪をした彼女はジョエルに関心があるのか、ちらっと手を振るのです。

エターナル・サンシャイン、永遠の陽光は長い導入部の先に素敵なラストが待っている不思議な感覚のラブ・ストーリーです。二人の出会いと別れは些細な出来事なのに、キラキラと輝いている思い出の数々‥。言葉や態度では表現できないことが、頭の中では楽しく切なく記憶されているのですね。二人がデートしたボストンのチャールズ川で横たわって星座を見たこと、初めて出会った海岸でお弁当を食べたこと、ニューヨークで象のパレードを見たこと、こんな楽しい思い出は絶対消えて欲しくないと誰でも思うはず‥。脚本のカウフマンと監督のゴンドリーの息もぴったりで、奇想天外で斬新な映像が素晴らしいです。でもラブ・ストーリーは古典的でとてもロマンティックに語られています。観終わった後が爽やかなのはストーリーの奥には崇高なテーマが隠されているからかもしれません。

ジムは内気な青年を(意外と本人に近いそうです)自然体で演じて素敵‥。クレメンタインと出会った時にちょっとはにかむところなんか上手ですね〜。ケイトは髪をタンジェリンやブルーに染めて(時の経過のヒントになってます)はつらつと演じて新境地を感じさせてくれます。オー・マイ・ダーリン・クレメンタイン〜♪は嬉しかったです(笑)そしてメアリー(キルスティン・ダンスト)とハワード(トム・ウィルキンソン)も二人と同じ経験をしていたのは驚きでした。記憶は消されても自分の好きなタイプや相性の良さは変わらないから、再び出会ってもまた好きになれる‥男女の縁って不思議ですね。


Shall we Dance?   シャル ウィ ダンス?   2004 米

監督 ピーター・チェルソム  出演 リチャード・ギア ジェニファー・ロペス スーザン・サランドン
                      スタンリー・トゥッチ リサ・アン・ウォルター                              

単調な毎日、ダンスで人生の輝きを取り戻す人生讃歌
シカゴの弁護士、ジョン・クラーク(リチャード・ギア)はキャリア・ウーマンの妻ビヴァリー(スーザン・サランドン)と2人の子供に囲まれた幸せな毎日を送っています。でも彼の心の中はどこか空しさが‥。いつも通勤電車の中から社交ダンス教室の窓の明かりに淋しげな女性の姿が気になっていたある日、ついに途中下車をしてダンス教室へと向かいます。その女性はポリーナ‥。教室ではみんな、ダンスに生き甲斐を見出し、生きることの楽しさ、喜びを謳歌していたのです。ジョンは初めてマンボをマスターした時の達成感が忘れられません。とうとうダンス・コンテストに出場を決意して本番までの3ヶ月、特訓を重ねます。

「Shall we Dance?」は周防正行監督の「Shall we ダンス?」のリメイクなので、どうしてもオリジナルと比較されますが、原作に忠実でもやはり監督、俳優たちの自分たちのオリジナルなものを作りたいという心意気が感じられましたね。でもダンスシーンの迫力はやはりアメリカならではの華やかさはあるけれど、オリジナルは役所公司が初めはほんとうに素人でこつこつと練習を重ねて、見事なダンスを披露していく様子が丁寧に描かれていたように思います。こういう成長過程が醍醐味になっているので、全体の印象からすればやはりオリジナルの方が私は好きかな‥。ギアさまはシカゴの時と今回6ヶ月、毎日8時間特訓の成果があって最初からステップが決まっていたように思います(笑)

ポリーナ役のジェニファー・ロペスはクラシカルな美しさが素敵だった草刈民代(監督の奥様)とは対照的でラテンの香りとリズムを感じましたね。奥様役は原日出子とスーザン・サランドン。これまた全然タイプが違います。日本の男性は女性に淑やかさを求めるのに対し、アメリカではエネルギッシュな女性を求めるところも文化の違いを感じさせます。意外だったのは竹中直人役のスタンリー・トゥッチ。ユーモラスで身軽なダンスステップにびっくり!「ターミナル」のお堅いイメージと随分違いますが、硬軟どちらも魅せてくれます。ラストはアメリカらしく家族愛を讃えていてとても感動的‥。赤いバラもお似合いのギア様のダンディで上品なお色気は年齢を感じさせないですね。退屈な毎日なら新しい何かを求めて一歩を踏み出せば、豊かな気持ちになれるかも‥。


コーラス   Les Choristes   2004 仏

監督 クリストフ・バラティエ  出演 ジェラール・ジュニョ フランソワ・ベルレアン ジャック・ペラン
                      ジャン=バティスト・モニエ  マクサンス・ペラン

心を閉ざした少年たちと音楽教師の心のふれ合い。
1949年、クレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョ)はフランスの片田舎の寄宿舎に赴任します。ここは両親を亡くした少年、親元を離れた問題児が暮らしています。ある日過激ないたずらで用務員のマクサンスが大怪我をして、校長先生は彼らに体罰を与えます。でもマチューは決して体罰を与えず、生徒にマクサンスの看病をさせます。子供たちの暗い瞳の奥の孤独、寂しさを知り、彼らの幸せを願うばかり‥。歌うことで生きることの楽しさ、喜びを知って欲しいとコーラスを教え始めます。

冒頭は「ニュー・シネマ・パラダイス」のシーンを彷彿とさせてくれるので嬉しくなりました。当時反抗的だったモランジェ少年(ジャック・ペラン)も今は世界的指揮者になって活躍していますが、これもマチュー先生が音楽の楽しさを教えてくれたから‥。現在が幸せなら、つらい思い出も悲惨にならないこと、時が経てば良い思い出になることをラストのペラン氏の表情が物語っています。生徒たちの才能を見出し、のばしてくれる先生は貴重な存在です。そして自分たちのことを大切に思ってくれる先生のことは生涯忘れないでしょう。マチュー先生は名声を得ることなく、自分の夢に生き、子供たちの幸せのために生きた人だと思います。ラスト、マチューについて行く少年ぺピノ(ペラン氏にそっくり!)は最後にマチューの日記をペラン氏に見せていて感動的でしたね。

モランジェ少年役のジャン=パティスト・モニエくんが天使の歌声を披露してくれます。彼は現在もサンマルク少年合唱団でソリストを務めているそうですよ。小学生の時、近くの教会にウィーン少年合唱団が来訪してすぐそばで聴いた思い出がありますが、映画を観ていちばんに思い出しました。美少年で美声のキリアン君にも夢中になった時期がありました。映画「野ばら」の中でも彼らの美しい歌声が聴けますね。映画も音楽もそれを観て聴いていた時代にタイム・スリップできてノスタルジックな気持ちに浸れる‥心の友、宝物ですね。


Shall we ダンス?   シャル・ウィ・ダンス?   1996 日

監督 周防正行  出演 役所公司 草刈民代 竹中直人 渡辺えり子

オリジナルはかなり前に観て、細部を忘れていましたのでTVで再見出来て嬉しかったです。やっぱり私はオリジナルの方が好きですね〜。全体の作品のトーンがゆったりと流れて、観てて心地良いのですね。それにダンスに対しての愛情、思い入れが伝わってきて感動しますよね。周防監督が奥様のために作られたからかしら?以前観た時は役所さんの好演がすごく印象に残っていて、他のところはかなり忘れていました(恥)最初、役所さんが岸川ダンス教室に行くまでにすごい時間がかかって、ドアを開けるまでの内面の葛藤が細やかに描かれていてとても面白かったです。それも渡辺えり子さんの勢いに押されるように教室に入っていくところが、ふたりのその後を暗示してるかのようで(笑)

初めはステップひとつ踏めない役所さんが、こつこつ練習してる姿がいかにもまじめな経理課長さんって感じですよね。会社でも電車の中でもついステップを踏んでしまうのは、なんか分かるような気がします(笑)それと初めの頃はいつもちらちらと舞さんの方を観てたのに、だんだんダンスの楽しさが分かってくる様子が素晴らしいです。何故か涙が出てしまいました。やっぱり何でも一生懸命に頑張ってる姿は美しいですね。だんだん年を取ってくるとそういう気持ちを忘れてしまって‥。それから舞さんが自分のダンスに対する姿勢が間違っていたことに気づいて、1からやり直しをしたいと思ったところも素敵です。ダンスや練習だけが全てではなくて、パートナーの関係もとても大切だということを。

竹中直人さんのユーモラスな怪演、渡辺えり子さんのインパクトのあるダンス、草村礼子さんの上品で落ち着きのあるせりふや仕草、どれも素晴らしくて引き込まれましたね〜。どちらかと言えばせりふは淡々としてますけど、それがかえってダンスの楽しさや華やかさを盛り上げていると思います。探偵の部屋に「フォロー・ミー」のポスターが貼られてましたね。嬉しい〜!冒頭に舞踊と音楽は人間が考えた最初にしてもっとも初期的な快楽であると言ってましたが、同じ人生なら楽しみながら過ごしたいものですね。役所さんもダンスをすることで奥様との関係も良くなって良いことずくめ。周防監督のセンスは大好きですし、生真面目な役所さんに心底惚れましたよ。


飛ぶ教室   Das Fliegende Klasseszimmer

2003 独

監督 トミー・ヴィガンド  出演 ウルリヒ・ノエテン セバスチャン・コッホ ハウケ・ディーカンフ
                    フレデリック・ラウ ハンス・ブロイヒ・ウドケ 

先生や友人との交流を通して成長する少年たちの物語
船長の養父に育てられている少年ヨナタンは、ドイツのキルヒベルクにある聖トーマス学校の寄宿舎に転校してきます。ここは8歳から18歳までの高等中学校で、授業の他にも聖歌隊、オーケストラ、社交ダンスなど、幅広い教育を行っています。生徒たちはみんなそれぞれの悩みや将来に対する不安をかかえています。生徒からの信頼も厚いベク先生はとても誠実で教育熱心。でもある事件がきっかけでヨナタンは退学の危機におちいります。でも生徒たちはベク先生の昔のつらい思い出を聞いて彼の心情を悟り、先生と生徒の絆はさらに深まっていきます。

原作はエーリヒ、ケストナーです。昔から少年ものに弱いので、こういうお話は大好きです。「スタンド・バイ・ミー」は4人の少年たちの友情物語でしたが、こちらは学校なのでもっと多くの生徒たちの友情が描かれています。この年頃は大人が思っている以上に子供たちは繊細で傷つき易いのですね。このお話が素敵なところは、同じ年頃の子供たちだけでなく、先生や周囲の大人たち、家族も一緒になって彼らの人生を考えていくところがとても爽やかでした。彼らの秘密基地で知り合ったボブが実はベク先生の親友と分かって、後に二人を引き合わせてあげるところは感動しましたね。学生時代に二人が作った「飛ぶ教室」の劇が、ボブの西ドイツの亡命で出来なくなったお話も、二人の過去を物語っています。男の友情って素敵!

みんなに臆病者と言われることに人一倍傷ついているウィリーの気持ちも痛いほど分かりますね。男の子ならなおさらです。風船で飛ぶことで自分の存在をアピールしようとしたウィリー。これから少しずつ逞しく成長して欲しいものですね。ヨナタンが連れてきた犬くんが、みんなの愛情で大切にされてるのも動物好きな私には嬉しかったです。’人生は楽しいばかりではない、でも何を言われてもくじけないで頑張ろう、自分のペースでゆっくり進もうよ、君は一人じゃないんだよ、困った時は助けに行くから、’友達だろう?と歌われる「飛ぶ教室」はほんとうに素晴らしいですね。流れ星に向かって、ヨナタンが船長や先生、マルティン、ウィリー、マックの幸せを祈るところも大好き。お父さん、先生、友達みんなにたくさんの幸せが降り注ぎますように‥。こうやって毎日お祈りをするだけでなぜか心が満たされるのですね。