生きかた上手 対話篇

日野原重明 著

日野原重明氏3冊目の本です。今年94歳になられてもまだ現役でお仕事をされている日野原氏は最近良くテレビでもお見かけします。長寿の秘訣や人生観などを聞いていますと、如何に毎日の過ごし方が大切かが良く分かります。自分を振り返ると反省することばかりですね。まず食事はとても質素です。‥と言うより、朝、昼は液体(牛乳、野菜ジュースなど)でちゃんとした食事は夕食だけなんです。それであの健康的なお肌は驚きです。そして毎日目標を持っていきいきと生きることが大切といつも強調されています。この本は「生きかた上手」の愛読者カードをもとにして作られた日野原氏と読者の対話形式で綴られています。心に残った言葉を少し書きます。

私は少年時代は何でも1番でなければ気のすまない性格で、野心もありましたが、20歳前に結核に冒され、長い闘病生活を送っています。でもその時に受けた苦しみのお陰で、今は患者さんの心身の痛みを理解することができるのです。病気の経験がなければ、地位や名誉を追い求めていた人間になっていたでしょう。父親が牧師であったので、キリスト教の精神で患者さんに接することができました。希望は待っているものではなくて、自分で探すもの‥つらい時、前に進めない時は大きな深呼吸を繰り返すと、こわばった心が開放され浅い呼吸も深くなり、心にゆとりができるでしょう。あれがない、これがないとマイナス志向でなく、まだ私にはこんな素敵なものが残っている、とプラス志向で生きれば不幸ではなく幸せを感じて生きられるのではないでしょうか。

人は弱いからこそ、人と交わり、つながりを持って生きたいものです。野球でホームランを打った人が自分の実力だけを評価する人と、みんなの応援があったので力が発揮できたと思う人。後者はいつも感謝と謙虚な心で、自分は多くの人に支えられていると感じられる人なのです。同じ境遇、年齢の人たちだけでなく、子供とお年寄り、自分よりも先輩の人、モデルにしたい人と交わりたいといつもアンテナをはっていることはとても大切です。自分のことを‘好き’と言えますか?自分をまず好きにならなければ、幸せな人生は送れません。つぼみがほころぶように人に会えば自然に微笑むことができる人は魅力的です。老いてもなお、表情の美しい人は若い頃からそれが習慣になっていたのでしょう。からだのどこかに障害があっても、病んでいても体全体が障害を受けているわけではないのです。‘気’というエネルギーがあればいきいきと生きていけます。私たちに耐えられないほどの試練が与えられることは決してないのですから。人生の最後に‘生まれてきてよかった。ありがとう’と感謝のことばで命を天にお返しすることができれば、長くても短くても生きがいのあった人生と言えるでしょう。


宮廷女官チャングムの誓い28〜32話 (全54話)

イ・ヨンエ チ・ジニ イム・ヒョンシク ミョン・サンフン キム・ユジン

(28)助け舟
済物浦への途中、亡くなったハン尚宮は土中に埋められてしまいます。チャングムは‘あなた達を絶対に許さない’と泣きます。ミン・ジョンホはその頃、自分の命を救ってくれたのはチャングムと知って驚き、辞表を出して、済州島へ助けに向かいます。チャングムは納屋に閉じ込められ、そこには医女チャンドクがいます。彼女に教えられたまま水痘症にかかったふりをして、隙を見て逃亡するも海岸の番兵につかまってしまいます。何度逃亡を試みても全て失敗。チャンドクにここでは諦めることを覚えよと教えられます。ミン・ジョンホは‘今逃げても両親と同じ運命になるだけ。私がいつかあなたの無実を晴らすから今は我慢して欲しい。1年、3年、いや10年経っても私はあなたのそばを離れない’と励まされます。逃亡の罪でチャングムはウドの放牧に送られそうになると、医女チャンドクが私が彼女を引き取ると申し出ます。
(29)一筋の光
チャンドクの弟子にと誘われても、チャングムは彼女の教えには従えません。やがて平民の子供が皮膚病にかかり、チャンドクは針治療を行います。でも貧しいので薬代が払えず、可哀相に思ったチャングムはミン・ジョンホにお金を借り、山に雪水を取りに行きます。島は塩水が多く、塩気の多い魚を食べると体の熱が上がり、血が濁るのです。ソウルでは鴨を3ヶ月食べ続けたカン・ドックの妻が懐妊します。チャンドクは受刑者が病気になると罰を覚悟で治療に出かけます。それでよく納屋に閉じ込められるのです。彼女はとても優秀な医女だが、宮中の生活に合わないので済州島にいるのです。チャングムは医女になれば宮中に戻れるかもしれないと思い医女を目指すことを決意します。
(30)新たなる挑戦
医女になりたいとチャンドクに頼むと、私は何でも1度しか言わないからと厳しく教えられます。宮中では犬を抱いて泣いているヨンセンをいじらしいと王様に見初められ王の寵愛を受けます。ヨンセンは王様は怖いけれど、これでチャングムとハン尚宮の真実を話せると喜びます。チャングムは薬草園で知り合ったウンベクと喜びの再会します。医術を学んで宮中に戻り、母とハン尚宮の仇をとると言うと、‘医術を学ぶ者が復讐や怒りに燃えるなどけしからん、すぐにやめろ’とウンベクに叱られます。チャンドクは自分も両親の復讐のために医術を学んだと悲しい過去を打ち明けます。‘上に立つには一直線に進むこと、現実を見てその上に立つこと、大勢の人を味方につければ復讐も医術もどちらも成し遂げられる’とチャンドクから教えられます。
(31)初めての鍼
済州島で医術を学び始めて2年が経ちましたが、鍼の治療に一度失敗してから医術が前に進みません。カン・ドックはチャングムに会いに済州島に来る途中の船酔いで倒れ運ばれて来ます。でもどうしても鍼治療ができないチャングムはお灸治療をします。ミン・ジョンホが献上品の馬の護衛で島を離れている時に、倭寇(日本の海賊)に占領されて官吏たちは逃げてしまいます。チャングムたちは捕らえられ、大将の病気の治療を命じられ、できないと断ると、ここにいる全員を斬ると言われ、まず一番にカン・ドックが標的にされます。大切なカン・ドックを助けたいと、とうとう鍼治療を行い成功します。ミン・ジョンホは密かに倭寇撃退を狙い、チャングムは言葉巧みに彼らを薬草園に連れていき、捕らえることに成功します。でも政府から倭寇の大将を治療した罪でチャングムは移送されてしまいます。
(32)無罪放免
ソウルの義禁府に送られたチャングムは取り調べを受けます。ミン・ジョンホは済州島の官吏の報告が偽りで、チャングムが倭寇を討つことに加担したことを報告すると、王は怒りすぐに無罪放免にせよと命じます。済州島に帰る途中、ハン尚宮のお墓を立てたいと思案していると、男の子が来て、ここは不吉な土地なので墓を立ててはいけないと言います。チャングムは男の子の顔を見て病気と直感し治療したいと願い出ます。牛の骨と肉をゆでた汁をこして煮詰めて飲ませ、胃腸の洗浄をすると病気は治りました。‘あなたは多くの人を助ける相をしている。易経を読んでください。ハン尚宮には立派な墓をつくりましょう’と約束してくれるのです。翌日に医女試験があることを知ったチャングムは受けに行きます。3人ずつの採点で上、中、下とつけてひとつでも下があれば不合格になります。なんと試験官にはウンベクがいました。難問に見事な正解でずっと上をとっていたチャングムは、ウンベクの’患者が復讐したい敵であっても治療するか’という質問に‘今は答えられない’と言ってしまいます。不合格を覚悟すると結果は合格です。ウンベクは考慮の末、今は保留中として合格にしたのです。


母同然のハン尚宮を失って、済州島に送られ医女を目指すチャングム。チャンドクやウンベクに医術の心得を教えられてもやはりその道は険しいです。ミン・ジョンホとカン・ドック夫妻がいつも助けてくれるので心強いですね。1話でチャングムの父が仙人に娘は多くの人を救うだろうと予言されてましたが、病気を治した男の子がその予言どおりのせりふを言っていたのに感動しました。試験に合格したチャングムはどのように医術の道を進んでいくのか楽しみです。

目に見えないけれど大切なもの

渡辺和子 著

岡山のノートルダム清心大学の学長をされていた、渡辺和子さんのエッセイです。2・26事件で幼いときに父親を目前で亡くすと言うつらい経験をされています。30歳の頃周囲の反対を押し切って修道院に入ってもそこが「天国」ではないことを知り、何度か去ろうと思ったそうです。悩んで神父さまに相談すると、「あなだかが変わらなければ、どこへ行っても同じだよ」と言われ、他人に何かを期待するのではなく、自分が変わることで周囲も変わっていくことを学んでおられます。とても清廉な文章を書く方で、優しい中にも芯の強さを感じさせる女性です。美しい絵と詩の本でよく知られている星野富広さん、相田みつをさんの詩も載せられています。生きていく中で大切なことを教えてくれる珠玉の言葉の数々‥悩んだ時、落ち込んだときに是非読んで頂きたい1冊です。

私は若い頃はささいなことにも傷ついていたが、今では傷ついても大丈夫と心にゆとりが持て、自分で手当てをすることを覚え、他人の傷に包帯を巻ける人になりたいと思うようになりました。どんなに愛し合っても100%信じるのではなく、残りの2%は相手を許すために取っておくことです。赤ちゃんが最初に習わないといけない発達過程は「信頼」です。この時期に十分愛されて育てば、大人になって厳しい現実に直面して、人間の弱さを知った時も絶望することなく98%の信頼と2%の許しで逞しく生きていけるでしょう。人はそれぞれ悲しみ、苦しみ‘目に見えないもの’を持って生きています。このことを忘れないで、自分の生き方を正し、他人への生き方への理解を深めて生きたいと思います。

思いやりとは強いものが弱いものに、上から下に施すものではないのです。それは「人」と言う文字が表しているように、不完全なもの同士が支え合う人間本来の姿です。愛の反対は「憎しみ」と思いがちだが、愛の間反対にあるのは愛の欠如‥「無関心」なのです。他人との人間関係に無頓着で自分の世界に閉じこもっていて、苦労してまで他人と心を通わせようとしないそんな人たちが増えています。人がほんとうに望んでるいるのは「偉大なもの、強いもの、賢いものになる」ことではなく「ありのままの自分で愛されたい」ことです。善悪、美醜、賢愚に関わりなく、欠点も全部ひっくるめて愛されたいということ‥。家柄、身分、性別、年齢差と関わりなく、人間はあるがままの姿ですでに神に愛された者なのです。




宮廷女官チャングムの誓い33〜38話(全54話)

イ・ヨンエ チ・ジニ ホン・リナ キョン・ミリ ハン・ジミン パク・ウンス

医女試験に合格したチャングムには次々と苦難が待ち受けていますが、その都度持ち前の聡明さで解決してゆくので気持ちが良いですね。シン教授、ウンベク、チャンドク、シンビ、ヨンセン、ミン尚宮、チャンイが支えてくれて、そして家族(以上?)の愛情を注いでくれるのがミンさまとカン・ドック夫妻‥女官時代と同じく医女になっても権力争いは熾烈ですが、チャングムは王と皇后をも味方につけているので心強いですね。

(33)うぬぼれ
医女試験に合格して典医監教育場に入ったチャングムは最初から苦難の道を歩み始めます。教育責任者のシン・イクピル教授に‘君は医女になる資格と品性が全くない、医女になるのは諦めろ’と言われます。チャングムは‘どうすれば品性がつくのか、どんなことでも我慢するから医女にして欲しい’と必死で頼みます。一方、オ・ギョモ一族の不正を明らかにするべくミン・ジョンホは尽力を注いでいます。毎年の慣行で医女たちが妓女(キーセン)になって宴会の席に出向いた日にチャングムとシンビは行かずに、シン教授の実習を受けることに‥。チャングムは体や脈だけで診断を下したのに、シンビは患者の日頃の生活の悩みを聞いて、長い日数をかけて診断を下します。チャングムは医学の知識だけで病気を治そうとしたことに気づき反省をします。
(34)王の怒り
シン教授は‘薬は毒にも薬にもなる、謙虚な姿勢で病の全てを知って、聡明以上に深みのある人間になれ’と教え悟します。シンビは幼い頃に治療をしてもらった医者にお礼ができなかった時、治療が有難かったのなら世の中に出て社会に恩返ししなさいと言われ、自分は医者になったと告白します。教育担当のイ・ヒョヌクは妓女に出席しなかったチャングムとシンビに不可3つをつけます。シン教授は妓女に出席した医女たちに不可3つをつけたので合格発表の日には全員が落第となってしまいます。再試験の末にチャングムとシンビは乙亥号(宮中への通行手当て)が渡されます。皇后が倒れたと知らせが入ってすぐに駆けつけると、そこでチェゴ尚宮になっているクミョンと再開します。
(35)疑惑
内待府執務室でクミョンに会ったチャングムは驚きます。皇后に流産の兆しがあります。チャングムが看病しているとチェ尚宮が来て二人は顔を見合わせて驚きますが、チャングムは淡々と看病を続けます。危機を感じたチェ尚宮はチェ・パンスルに相談するも、ミン・ジョンホが先手を打って彼らを封じ込めるのです。皇后は手当ての甲斐もなく流産をしてしまいます。ヨンセンはチャングムに会えるように、毎日お祈りをしていて、その甲斐があってふたりは再会ができ泣いて抱き合います。ヨンセンは‘自分に魅力がないので王様に忘れられ、何もしてあげられなかった’と詫びます。そしてチャングムに命を狙われているから気をつけてと忠告します。そしてミン・ジョンホもまた命を狙われていたのです。ある日クミョンに‘私の足を揉みなさい’と命じられ足やお腹を揉んであげます。皇后は流産の後遺症で具合が悪くなっています。
(36)誤診
シン教授とウンベクが集まって皇后の治療法を考えていますが、なかなか診断がつきません。医女ヨリが鍼を打つと大変苦しがり、チャングムはヨリの診断に疑問を持ちます。チャングムとヨリはシン教授とウンベクが見守る中、皇后を診察しますが、意見が異なります。ミン・ジョンホは功臣田(世襲の田畑)を削減し、朝廷の財政問題の解決を計ります。オ・ギョモの不正を追い、オ・ギョモ一派は危機を感じています。ヨンセンは皇后やチャングムを助けて欲しいと毎日お祈りをしています。チャングムは脈診をして、皇后のお腹には双子のもう一人の胎児が残っていると診断します。ウンベクはそれを聞いて、仏手散を処方します。チャングムが鍼を打つと、皇后は胎児を流産して命が助かります。
(37)母・皇太后
皇太后は老衰と持病が悪化しても、全ての治療を拒否しています。王や皇后が説得しても聞き入れないのです。その理由に数年前に高官を死なせたシン・イクピルが信用できないと言うのです。チャングムは皇太后に賭けをして欲しいと頼みます。‘私が勝ったら治療を受けて欲しい。私が負けたら命を差し上げます。自分の命は恩師の命でもあるのです’と言います。その賭けとは‘その方は古くからの食医ですが、一家の僕でつらい仕事をしていましたが、家族全員の師匠でした。その方が生きている時はこの世は山で、なくなるとこの世は水に沈んだのです。1日差し上げるので答えて欲しい’と願い出ます。チェ尚宮から答えを聞いた皇太后は答えを言わないで治療を受けます。答えは‘皇太后・母’だったのです。でも治療が遅れたため、皇太后は薬を受けつけないほど体が弱っていました。
(38)丸薬の秘密
肝臓、脾臓、関節を患い、薬も鍼も受けつけない皇太后は脚気と診断されます。チャングムはクミョンに皇太后の献立を見せてもらい薬の処方に役立てます。そして脚気に良い食べ物(あずき、麦、にんにく、ナツメグなど)が嫌いな食習慣病と診断します。皇太后はクミョンたちの作った食事は食べられなくても、チャングムの作った丸薬は美味しそうに食べます。しかしヨリに‘にんにく’で作っているのを知られ皇后に咎められるが、皇太后は丸薬のお陰で元気になっていくのです。チャングムは緑茶ににんにくをつぶして入れ、干しナツメと米ぬかを入れて混ぜ丸薬を作ったのです。皇太后の嫌いなにんにくの臭みを消して丸薬を作ったことを褒められ、鍼治療も受けられるようになります。面白くないのがヨリ‥クミョンと一緒にチャングムを宮中から追放しようと企みます。ヨンセンはミン尚宮に月の生気を体に取り込むことを習いその夜、王と一夜を共にします。チャングムは皇后に鴨の事件を話すと’お互いに力を合わせて味方同志として生きましょう。私の担当になって欲しい’と頼まれます。