モーツァルト!   MOZART!

演出 小池修一郎
脚本 歌詞 シルヴェスタ・リーヴァイ
音楽 ミヒャエル・クンツェ
出演 ヴォルフガング 山崎育三郎   コンスタンツェ 島袋寛子   ナンネール 高橋由美子
    レオポルト 市村正親   コロレド大司教 山口祐一郎   アマデ 黒木璃七
    ヴォルトシュテッテン男爵夫人 香寿たつき   セシリア 阿波知悟美
    アルコ男爵 武岡淳一   シカネーダー 吉野圭吾
観劇日 2010・12・9 マチネ 帝国劇場

今回は、本当に体調が良くなくて、思うような観劇ができなかったのが、とても残念です。私にとっては、今年最後の公演でしたので
万全の体調で観たかったです。でも劇場まで来ることができましたので、まぁ、良かったとは思っています。
1幕はどうにか楽しく観ることができましたが、2幕になると疲れで睡魔が襲ってきて困りました。
座席は前方よりでしたので、元気でしたらもっと、臨場感のある素晴らしい舞台を楽しむことができたのにと思います。
こんな状態でしたので、今記憶に残っているところだけでも、俳優さん別に少し書いておきます。

プロローグと2幕の冒頭で、コンスタンツェが墓地でモーツァルトの遺骨を探していますが、フィナーレで彼が自殺をした瞬間
モーツァルトの頭蓋骨が見つかるシーンは、今回初めて気がつきました。舞台ならではの、インパクトのある演出だと思います。

山崎育三郎さん
11月11日の舞台は、緊張感からまだ少し硬さがありましたが、今回は音楽性豊かに、のびやかに歌い演じていました。
歌への感情移入が上手で、どの場面もまるでモーツァルトの魂が乗り移ったかのように魅力的な舞台でした。
やはり1ヶ月間舞台を経験すると、歌も演技も大きくなって、余裕を持って演じられるようになるのですね。
リズム感が抜群で、情熱的なダンスシーンは、ほんとうに素晴らしかったです。アマデの璃七ちゃんとの息もぴったりでした。

高橋由美子さん
TVでは、時々拝見していますが、舞台は2回目です。明るい表情が印象的で、輝くようなオーラを感じさせる女優さんですね。
ヴォルフガングの姉という重要な役ですが、可愛らしさと優しさ、強さを持っている女性を自然体で表現していたと思います。
市場で買い物をしている時の、金髪のおさげ髪が、可愛いです。“私はプリンセス、弟はプリンス”の歌い方が、チャーミングですね。

香寿たつきさん
11月11日と今回、2回目の舞台ですが、直前イベントの時に、素顔の香寿さんを拝見していますので、正確には3回目かしら。
優しい笑顔が素敵な女優さんですね。存在感があるというよりは、女性らしい優しさで相手を包み込むような母性を感じさせる方です。
明るくのびやかな歌声は、力強さの中にも癒されるような響きがありますね。黄色の鮮やかなドレスがとてもお似合いで素敵です。

吉野圭吾さん
「TDV」「レベッカ」に続いての舞台ですが、どの役も吉野さんのキャラクターが強烈で、存在感がありますね。
彼の真骨頂はやはりダンスだと思います。彼が登場すると、ブロードウェイのエンターテイメントの舞台を観ているよう!
ダンスのセンスが抜群なんでしょうね。アドリブも上手に入れていると思いますので、舞台が生き生きとしています。

山口祐一郎さん
祐一郎さんは、歌も演技も安定しているので、安心して観ていられます。歌うシーンは多くはないけれど、場面毎に声質を変えて
歌わないといけないので、難しいでしょうね。せりふも静かなところ、激しいところ、どちらも味があって心地良く響いて素敵!
今回、指輪を右左の手に3つずつしているのに気づきました。衣装も豪華ですけど、アクセサリーも凝っていますね。

「何故だ、モーツァルト!」右側からの階段を降りてから、中央の壇上で歌う姿は、やっぱり貫禄充分ですね。
高音から歌が始まるのは、「パイレート・クィーン」の最初、マストに登った時のティアナンの歌を思い出します。
アルコ男爵役の武岡さんのひょうきんな演技が、権力者のコロレド大司教さまとうまく対比させていて楽しいです。
「神が私に委ねたもの」馬車には4人が乗っていますが、それぞれ、みんなかなりオーバーに体を揺らせていますね。
コロレドさま、トイレに行きたいシーンは“ああ〜っ”と声を出して、かなり情けないですけど、やっぱり楽しいシーンかも。
最後のポーズは前回と違って正面を向いて、手を上にガッツポーズのように広げて、力強く勇ましいです。

「神よ、何故許される」モーツァルトの楽譜を見て、素晴らしいとため息をつくところは、静かな佇まいで演じていますが
レオポルトが“私はいつでもモーツァルトをつくることができる”と言うと、すごい剣幕で怒るところは激しく…とめりはりのある
せりふは上手だな〜って思います。歌っても演じても美声なので、彼の舞台は魅力的なんでしょうね。
「謎解きゲーム」コロレドさまは、仮面をつけて歌っていますが、彼が去った後、アーチ型の美しいライトを背に
レオポルト・パパが出現するところは、オペラ「ドン・ジョバンニ」を思わせる演出ですね。独特の雰囲気があって引き込まれます。
「モーツァルト!モーツァルト!」不覚にもちょっと眠てしまって、祐一郎さんの歌うシーンを少し見逃してしまいましたが
“目に見えぬ真実!”の後で少し微笑んでいましたので、こちらの表情もつい和みます。

カーテンコールは最初に全員のご挨拶の時、祐一郎さんをオペラグラスで見ていましたら、市村さんの(可愛らしい)ご挨拶を
見られなかったのが残念。3回のカーテンコールの後に、いつものように幕前に山崎さんとアマデの璃七ちゃんが出て来て
“ありがとうございました!”と何回も言って、舞台を右に左に走っていました。最後に山崎さんが璃七ちゃんに耳打ちしましたら
璃七ちゃんが“また来てくださいね”と可愛らしい声で言って、客席から拍手が沸きました。
「モーツァルト!」は大好きな演目なので、またいつか観る機会があれば嬉しいです。素晴らしい舞台をありがとうございました☆

モーツァルト!   MOZART!

演出 小池修一郎
脚本 歌詞 シルヴェスター・リーヴァイ
音楽 ミヒャエル・クンツェ
出演 ヴォルフガング 山崎育三郎   コンスタンツェ 島袋寛子   ナンネール 高橋由美子
    レオポルト 市村正親   コロレド大司教 山口祐一郎   アマデ 坂口湧久
    ヴォルトシュテッテン男爵夫人 香寿たつき   セシリア 阿知波悟美   
    アルコ男爵 武岡淳一   シカネーター 吉野圭吾
観劇日 2010・11・11 ソワレ 帝国劇場

今回の観劇は心の準備がほとんどなかったのですが、とにもかくにも劇場に行けるのが嬉しかったです。
少し疲れていましたので、時々眠い場面ありましたが、音楽もストーリーも素晴らしくて、とても楽しい3時間でした。
照明や舞台装置は「レベッカ」も「エリザベート」も少し暗めでしたが、「モーツァルト!」は華やかな場面も多いですね。
映画はサリエリから見たモーツァルトを描いていますが、舞台はモーツァルトの生きる上での苦しみや葛藤を描いています。
ピアノソナタやピアノコンチェルト、オペラ「魔笛」などが演奏されますが、歌や楽曲は全てオリジナルですね。
モーツァルトをはじめ、それぞれのキャストのソロがどれも素敵なので、聴き応えがあります。
テーマ曲があって、その人が登場するとそのテーマが流れるというのが、温かくていいですね。
モーツァルトの死因は今でも不明なので、いろいろな憶測があるようですが、映画とは違った解釈で印象深いです。
こんな事情でしたので、今回は山崎さんと祐一郎さんの歌と印象に残った場面の感想を少し書きます。

プロローグ 
コンスタンツェが墓場でモーツァルトのお墓を探している場面から、彼が生きている時にタイムスリップをします。
第2幕の最初も同じような場面で始まります。「レベッカ」も「エリザベート」もタイムスリップで物語がはじまりましたね。

山崎育三郎さん
2009年の「レ・ミゼラブル」の山崎さんのマリウス役は残念ながら観られなかったので、今回が初めてです。
甘いマスクと若いけれど穏やかな印象を受ける俳優さんなので、好感が持てる人だな〜と思っていました。
普段は控え目な感じですが、どの場面も全身全霊で表現していて、舞台への情熱はすごいと思いました。
側転をしたり、階段を駆け下りたりして、パフォーマンスは機敏ですし、所作も美しいです。
アマデの坂口湧久くんへの接した方が優しくて、微笑ましい場面も多かったですね。
「僕こそ音楽」歌のセンスが良くて、声質は明るく素直で音楽性がありますね。
高音になると少し苦しい時もありましたが、溢れるようにのびやかな表現は聴いていて心地良いです。
“詩は書けない 感じたまましゃべる”と軽やかな歌い出しで、自然にモーツァルトの世界に引き込まれます。

山口祐一郎さん
2005年の時のコロレド大司教さまの、堂々とした演技と歌が印象に残っていますが、今回彼の人物像がよく分かりました。
前髪をバックにして髭をつけているので、トートさまの怪しげな魅力とは違って、権力者の雰囲気がよく出ていますね。
いつも上段の位置にいて、ガウンの裾を翻しているような人ですが、ファンの目で見れば、どんなキャラクターでも、
祐一郎さんが演じている役に対して愛情がありますので、憎らしい気持ちは全然ないのが不思議…。
馬車のシーンは記憶にありませんでしたが、座席が揺れるごとにぴょんぴょん跳ねるのが(お上手!)可笑しいです。
祐一郎さんがユーモアの場面を演じるのは珍しいかも。ちょっとしたパフォーマンスも繊細に演じて素敵ですね。
立ち姿も美しく歌も素晴らしいので、もっと登場場面が多ければ、観劇の楽しみも増えるのに…と思ってしまいます。

「神よ、何故許される」ファンになってすぐにCDで聴いて、歌唱力に圧倒されましたが、舞台で生の歌を聴けて感動しました。
権力者の傲慢さを表現しないといけないので、いつもの甘さや包容力はないですが、やはりその美声にうっとり…。
最初から全力投球で、はりのある歌声ですが、強さの中にある優しい響きが、他の人には出せない祐一郎さんの魅力ですね。
CDでは途中にせりふは入っていないですが、“人間は 教育出来る〜”の前にせりふが入っていますね。次回も楽しみです。
「モーツァルト!モーツァルト!」男性、女性たちのアンサンブル・コーラスですが、短いソロが次々に歌われて楽しいです。
最後のコロレドさまと男爵夫人が歌うところは、高音でメロディーが複雑ですが、力強く歌って素敵でした。
どの場面も表情は硬かったですが、“目には見えぬ真実!”のところでコロレドさまが微笑んでいたのが印象に残っています。

カーテンコールは一人ずつの登場ですが、役によって登場の仕方が違うので、面白かったです。
祐一郎さんは、トートさまの時は、ゆっくり堂々と登場してしましたが、コロレドさまは早足にささ〜っと出て来て
右手をさっと出して、市村さんを迎え入れていました。レオポルトさまは右足をちょこんと跳ねてのお辞儀で可愛かったです。
幕が下がってから、山崎さんとアマデの坂口くんが幕前で、何回も“ありがとうございました!”と
右に左に走ってお礼を言っていました。最後に山崎さんが坂口くんをおぶって、退場しました。
次回は、もう少しちゃんと観劇して、メモもしっかりと取りたいです。   


レ・ミゼラブル   Les Miserables

脚色 演出 ジョン・ケアード トレバー・ナン
音楽 クロード=ミッシェル シェーンベルク
作詞 ハーバート・クレッツマー
出演 ジャン・バルジャン 山口祐一郎   ジャベール 石川禅   エポニーヌ Jennifer
    ファンテーヌ 知念里奈   コゼット 稲田みづ紀   マリウス 山崎育三郎
    ティナルディエ 駒田一   ティナルディエの妻 阿知波悟美   アンジョラルス 阿部よしつぐ
観劇日 2011・4・12 マチネ 帝国劇場

午前中の余震で少し落ち着かない気持ちでしたが、舞台の幕が上がると、不安な気持ちはなくなって
「レ・ミゼ」(略します)の世界に自然に入っていくことができました。私が初めて「レ・ミゼ」を観たのは
2009年3月の中日劇場ですが、2009年の10月に2回、帝劇で観ていますので、今回は4回目の観劇です。
その間に映画を3作品観たりして、ストーリーを理解してからは、作品への思いなども変わってきたように思います。
先日、TVで放映された、ロンドン公演25周年記念コンサートを観ましたが、ソロ、デュエット、コーラスの華やかな舞台でした。
音楽の表現は、お国柄があって、面白いですね。味つけが濃厚というか、びんびん伝わってくる感じです。
帝劇の舞台は、日本人らしい優しさ、繊細さが感じられて(私も日本人なので)す〜〜っと音楽が入ってきて、いいなと思います。
コルム・ウィルキンソンさん、サイモン・ボウマンさんたち、歴代のバルジャンが「彼を帰して」を一緒に歌ったのは、圧巻でしたよ。
制作のアラン・ブーブリルさんや、音楽のシェーンベルクさん、作詞家のクレッツマーさんも最後に登場されていました。
2011年公演がロンドン・オリジナル版最後ということで、キャスト、スタッフ、観客の人たちも、特別な公演になりますね。
観劇から少し時間が経って、記憶がかなり薄れていますが、歌を中心に、できる範囲でレビューを書きます。

「プロローグ」ティンパニーとオーケストラのインパクトのある演奏が始まると、やはりわくわくしますね。
1815年、ツーロンの文字が浮かび、暗い刑務所の中から、囚人たちの重いコーラスが始まると、すぐにオペラグラスで
バルジャンの姿を探してしまいます。ボロボロの囚人服を着ていても、バルジャンの存在感は大きいです。
「自由なのか〜」の第一声が、心地良く響いて、これからの壮大な物語を予感させてくれるようで、大好きなシーンです。
「仮釈放」「今こそ自由だ!」と解放された喜びもつかの間、世間の冷たいしうちにうちのめされるバルジャンが可哀そうですが
農夫たちに罵声を浴びせられて、身も心もすさんでいく場面も、祐一郎さんが演じると、なぜか絵になりますね。
「司教」司教さまの慈悲深さとバルジャンの悪い心の対比が感じられる、心に残るシーンですね。
淡々と描かれていますが、司教さまがバルジャンに、神の愛を授けるところなので、大切なシーンです。

「バルジャンの告白」司教さまの無償の愛を受けて、心を入れ変えようと決意する、力強いバルジャンのソロです。
悪よりも愛、神聖な心を求める歌なので、祐一郎さんの気迫のこもった歌声が素晴らしくて、圧倒されました。
最後の「生まれ変わるのだ〜〜」は圧巻で、拍手が鳴り止まなかったです。
「夢やぶれて」知念さんは、2009年はエポニーヌを演じていましたが、今回はファンティーヌを演じています。
病弱ということもあってでしょうか、少し体重を落とされてスリムになられたような気がします。
病気と貧しさで思うようにいかない人生を嘆く歌を、繊細にでも気持ちを奮い立たせるように歌って素敵です。
以前より、声が柔らかく、高音も美しく響いて、素晴らしいソロでした。

「裁き」正直に話すべきか、だまっているか、バルジャンが迷ったとき、司教さまの言葉を思い出して、名乗り出る場面は
何回観てもいいですね。「24653」の3は前回は4度高く歌っていましたが、今回は同じ高さでした。
「対決」バルジャンとジャベールの対決がすごい迫力で迫ってきますね。祐一郎さんも禅さんも、美声ですが
祐一郎さんはダイナミックな中にも温かい響きがありますが、禅さんは芯のある力強さがあって、引き込まれる感じかしら。
それぞれの個性がうまくマッチして、聴き応えのあるデュエットでの対決シーンです。椅子を壊すシーンも迫力ありますね。
「裏切りのワルツ」深刻な場面が多い中で、お金の取引をするシーンは、ユーモアがあって、ほっとしますね。
バルジャンが席を立とうとすると、ふたりして押さえつけるところで、お客さまに笑いがおきていました。
祐一郎さん、駒田さん、阿知波さんは「TDV」のメンバーなので、気心が知れて息が合っていますね。

「星よ」禅さんの力強い熱唱が心に残っています。きらめく星々をバックに、力強い歌声が劇場内に響き渡っていました。
ひとつひとつの言葉が鮮明で、声量も十分で、最後の「この星に誓う俺は〜」は大きな拍手が続いていました。
禅さんの眼力の強さも、印象深く残っています。
「オン・マイ・オウン」Jenniferさんは初めて拝見しますが、ハワイ出身のバイリンガルの方なので、インターナショナルな
雰囲気のある女優さんですね。健康的で明るいエポニーヌは、新鮮で楽しかったです。
マリウスを想っていても、自分は愛されていない孤独で切ない歌ですが、jenniferさんは、表現がダイナミックでストレートなので
気持ちが真っすぐに伝わってきます。パフォーマンスも、のびやかで好感が持てますね。

「彼を帰して」メロディーが美しく、繊細な歌なので、祐一郎さんにしか歌えない歌だと思います。
マリウスとコゼットを想う優しさを、微妙に声に変化をつけて、美しく歌っていますね。
「ゲッセマネの園」の冒頭の曲想と似ているように思います。優しさの中に、内に秘めた強さが感じられます。
最後の「うちへ〜〜」のす〜〜っと消え入るように歌い終えるところが、絶妙で聞き惚れてしまいます。
「カフェ・ソング」「モーツァルト!」でウォルフガングを演じていた山崎育三郎さんですが、戦地で戦うマリウス役も素敵。
歌心があって、声はスイートだけれど、ドラマチックに歌いあげて、心に響くソロでした。コゼットに恋心を抱くマリウスははまり役かも。
「エピローグ」コゼットをわが子として育て、マリウスを戦場から助け出して、ふたりを結婚させた聖なるバルジャン…。
彼の安らぎと満ち足りた心を現わすように天上の光が差し込み、舞台が静かな感動に包まれて涙が出ました。
祐一郎さんの天に召される前の神聖な歌声、コゼット役の稲田みづ紀さんの清らかな澄んだ歌声、マリウスの感謝の歌声
ファンティーヌとエポニーヌの苦しみから解放された歌声がひとつになって、明日への希望を感じさせてくれました。

深い感動の後のカーテンコールは、何回も何回も続きました。4回目くらいから、観客も立ち上がって、手拍子が続いていましたよ。
キャストのみなさんが、花を客席に投げていましたが、私は後方の席でしたので、今回も届かなくて残念でした。
祐一郎さんはいつも右側の舞台袖に立って、にこやかに手を振っていました。禅さんと固い握手をして、微笑ましかったです。
1997年の祐一郎バルジャンは、やはり観たかったですし、15年間進化し続けるバルジャンを観続けていたかったですね。
2011年の祐一郎さんのバルジャンを観ることができて幸せです。素晴らしい舞台を、ありがとうございます。



モーツァルト!   MOZART!

演出 小池修一郎
脚本 歌詞 シルヴェスター・リーヴァイ
音楽 ミヒャエル・クンツェ
出演 ヴォルフガング 井上芳雄   コンスタンツェ 島袋寛子   ナンネール 高橋由美子
    レオポルト 市村正親   コロレド大司教 山口祐一郎   アマデ 松田亜美
    ヴォルトシュテッテン男爵夫人 涼風真世   セシリア 阿波知悟美
    アルコ男爵 武岡淳一   シカネーダー 吉野圭吾
観劇日 2010・11・16 マチネ 帝国劇場

2回目の観劇ですが、11日とは違って心の準備もありましたので、落ち着いて観ることができました。
ストーリーはやはり興味深かったですし、よく知られているモーツァルトの曲が、オリジナル曲の合間に演奏されて楽しかったです。
セットやライトは華美過ぎず、バックスクリーンが工夫されていて、舞台が大きく広がって見えましたね。
スクリーンに地図が映し出され、マンハイムに印がつけられていて、今どこにいるのかがよく分かりました。
オーケストラはチェロ、バイオリン、ビオラ、ファゴット、フルート、ホルン、トロンボーン、トランペット、オーボエ、ドラム、キーボードと
30人位の編成です。それぞれの楽器の音色が美しく技術も優れていて、丁寧で細やかな素晴らしい演奏でした。
なかなかPCに向かえなくて、記憶がかなり曖昧になっていますが、俳優さん別にレビューを書きます。

プロローグの墓場の後に急に舞台が明るくなって、アマデがピアノを弾いているシーンが素敵。ナンネールがアマデに目隠しをすると
レオポルドパパが“天才少年、モーツァルトを紹介します。3歳でなんとピアノを弾いた““すごい!”“5歳で作曲をした”“まさか!”と
レオポルトと客たちの掛け合いが洒落ていて、力強いコーラスにわくわくさせられます。

井上芳雄さん
2005年の公演は中川晃教さん、木村佳乃さんのコンビでしたが、井上芳雄さんと西田ひかるさんのコンビも観たかったので、今回
彼のモーツァルトを観ることができて嬉しいです。2002年の初演から演じていらっしゃるので、経験からくる自信のようなものを感じました。
歌もパフォーマンスもきびきびとしているので、観ていて爽やかで小気味良いですね。声質は繊細だけれど、シャープで高音も鮮明に
響いて素晴らしいです。熱唱していても、余裕みたいなものが感じられて、こちらも肩の力を抜いて、歌を楽しむことができました。
松田亜美ちゃんは女の子ですが、アマデを可愛くりりしく演じていました。いつも大きな瞳でヴォルフガングを見つめていたのが印象的です。
「エリザベート」もトートが羽根ペンを床に刺すシーンがありましたが、「モーツァルト!」も羽根ペンが重要な小道具になっていますね。
「僕こそ音楽」声に魅力のある方ですね。声量がすごいとか、強さでグイグイ引っ張るタイプではないけれど、聞かせ所の坪を心得ていて
井上さん独特の世界を持っていますね。“詩は書けない…”の歌い始めから透明感があって引き込まれます。“メジャーとマイナー、コードに
メロディーも〜”の歌い方も素直で美しくて好きです。歌詞が明瞭なので、歌の意味がよく理解できるのも素晴らしいと思います。

島袋寛子さん
SPEEDで活躍されているお姿は、TVでよく拝見しますが、ソロで歌を聞くのは初めてです。どのシーンもエネルギッシュでお元気なので
やっぱりお若いんだなあ〜って思います。声質は井上さんと同じくシャープで、いつも颯爽と演じていて素敵!
スレンダーなのでドレス姿がきれいで、若くても頼れるお姉さん的な雰囲気があって、同性から見ても好感が持てる女優さんですね。
「ダンスはやめられない」島袋さんも、独特の個性が輝いていて、歌も高音になって強さが要求されるとますますパンチが効いてくるところが
すごいなと思います。優しくて淑やかなコンスタンツェではなくて、夫を支える逞しい妻だけれど、自分の生き方にも疑問があって
揺れ動く女心を上手に力強く表現していて、素晴らしいです。

市村正親さん
市村さんは舞台歴も長く豊富な方ですが、2005年の「モーツァルト!」が私の初観劇です。
TVドラマでは時々拝見していますが、舞台の市村さんは今回2回目というのが、自分でもちょっと意外でした。
「TDV」のアブロンシウス教授は是非、拝見したかったです。どんな役を演じられても、これまでの経験と自信が感じられますね。
重厚に、時に軽快に演じ分けて、さすがベテランです。舞台での活躍の年輪がお顔に刻まれていますが、口元が可愛らしい方ですね。
「心を鉄に閉じ込めて」息子を想う父親の心情が込められた歌ですね。やはり市村節が強烈で、インパクトがありますね。
自分が成し得なかったことを息子に託していますが、世間の荒波を生きていくのは、どれだけ困難であるか…と
レオポルドパパが切々と歌っていますが、ご自分の息子さんへの気持ちを重ねて演じていらっしゃるのかもしれませんね。

涼風真世さん
涼風さんは「エリザベート」「レベッカ」「パイレートクィーン」と重要な役を演じ続けていますが、華と実力を兼ね備えている女優さんですね。
今回もヴァルトシュテッテン男爵夫人を素敵に演じていますが、舞台経験が豊富なので、歌もパフォーマンスにも余裕が感じられます。
いつまでもキュートで細身なので、豪華なドレスの着こなしも美しくて、見とれてしまいます。
「星から降る金」涼風さんはお顔もキュートですが、お声もキュートですね。声量はありますが、時々スイートに歌われるところがチャーミング。
メロディーも歌詞も素敵な歌ですね。“夜空の星から降る”のところは大らかに甘く優しい響きが涼風さんらしい持ち味があっていいですね。
モーツァルトは22歳で母を亡くしているので、伯爵夫人に母を重ねて、慕っていたのかもしれませんね。

山口祐一郎さん
コロレドさまが舞台に登場している時は、ものすごく集中して見ています(笑)自由を愛するモーツァルトがテーマになっているので
コロレド大司教さまの役どころは重要ですが、ヴォルフガングが主役なので、登場場面が多くはないのは仕方がないですね。
前半は赤地に金色の刺繍を施した豪華な衣装に長いマント、後半は金色の縁取りがある黒い衣装に肩にかけられた
長いドレープ姿で、どちらも長身によくお似合いです。マキシムも素敵でしたが、コロレドさまも素敵です。
「何処だ、モーツァルト!」まだパフォーマンスと歌が一致して記憶にないのですが、舞台の中央の壇上でマントを翻して、権力者らしく
威厳を持って歌っている姿が印象に残っています。高音のはりのある声が、より権力者の横暴ぶりを感じさせます。
祐一郎さんの声はどの音域でも、魅力がありますね。口では“モーツァルトはけしからん、クビだ!”みたいなことを言って
楽譜を投げ捨てるのに、後では“この曲の演奏をオーケストラに依頼せよ”と命じて、内心はモーツァルトの音楽を絶賛していたのですね。

「神が私に委ねたもの」馬車のシーンは、バックスクリーンの景色が流れて、ずっと体を揺らせている状態で歌うので大変そう。
トイレに行きたくなって苦しそうにしているシーンが真に迫っていて上手ですが、やっぱり可笑しいので、客席が笑いに包まれていました。
用を足した後、手を洗って馬車に戻るまでのパフォーマンスがスマートで美しいです。メロディーは「神よ、何故許される」と同じですね。
「神よ、何故許される」何回聞いても、歯切れの良い歌唱力と迫力に圧倒されて、聞き惚れてしまいます。
前奏もインパクトがありますし、バイオリンとドラム、キーボードの伴奏も素晴らしいですね。
“人間は教育出来る”の前に、コロレドさまとレオポルドパパのやりとりがありますが、「TDV」の伯爵と教授の再現みたいですね。
コロレド大司教さまの“自分のために作曲せよ”という要求は、モーツァルトには通用しないですよね。
“敗北認めるのか…”のグリッサンドのところは、滑らかに声を滑らせて、見事に美しく歌っていました。
“音楽の魔術〜〜〜!”はダイナミックに圧倒的な声量で、拍手が鳴り止まなかったです。

カーテンコールでは、祐一郎さんは、小走りでなく、普通の足取りで出て来てご挨拶をして、市村さんを迎え入れていました。
市村さんは頭の上で両手を山のような形にして、可愛くお辞儀をしていました。毎回変えるのって、大変でしょうね。
幕が降りてから、井上さんと亜美ちゃんが“ありがとうございました!”とお礼を言って、最後に亜美ちゃんをおぶって幕内に戻っていきました。
カーテンコール後のオーケストラの演奏をたくさんのお客さまが、オケピを覗きながら聞いていましたので、私も近くに行って拍手してきました。
12月に、山崎育三郎さんのヴォルフガングを観る予定です。次は演技にも集中できますように…祐一郎コロレドさまが楽しみです!