エリザベート   ELISABETH

演出 小池修一郎
脚本 歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽 シルヴェスター・リーヴァイ
出演 エリザベート 瀬奈じゅん   トート 山口祐一郎   フランツ 石川禅
    ルキーニ 高嶋政宏   マックス 村井国夫   ゾフィー 寿ひずる
    ルドルフ 田代万里生   ルドヴィカ 阿波知悟美   ヴォルフ 伊藤弘美
    ルドルフ(少年) 坂口湧久
観劇日 2010・9・2 マチネ 帝国劇場

9月に入ってもまだまだ暑さが厳しい中、俳優さんたちは,体調を整えながらの舞台なので、毎日苦労されているでしょうね。
「エリザベート」は人気の演目なので、前売り開始日でも良い席を取るのは難しくて、今回も1階のかなり後方の席でした。
舞台が遠いと、臨場感がないので、ほとんどオペラグラスを使っていました。舞台全体が把握できなかったのが残念です。
ベテランの俳優さんが多く、成熟している舞台なので、落ち着いて楽しむことができました。
ハプスブルク家の崩壊というドラマチックなストーリーと、素晴らしい歌、パフォーマンスにぐいぐい引き込まれてしまいます。
スクリーンで映像や写真を写すのは、他の作品でもよく見られましたが、「エリザベート」も効果的に使われて、楽しかったです。
開演前にオケピを覗いていましたら、管楽器の人が笑顔で手を振ってくださって、とても嬉しかったです。
今回は新しいキャストの方と祐一郎さんの歌を中心に感想を書きます。

瀬奈じゅんさん
瀬奈さんは初めて拝見する女優さんです。瀬奈さんのエリザベートは明るく軽快なオーラがありますね。
可愛くてもどこか頼れそうで、お色気も爽やかで、同性からも好かれる方ですね。
歌は表情が豊かで、高音ものびやかで美しく響いて素晴らしいです。
「パパみたいに」少女時代をとても生き生きと演じて可愛いです。父親とのデュエットも愛らしさがあって微笑ましいし
側転も決まっていました(笑)声に透明感がありますので、少女時代を上手に表現できるのだと思います。
蘇生した後に歌われる「パパみたいに」はトートと出会うことで、同じ歌でも雰囲気が違いますね。
「私だけに」窮屈な宮殿のしきたりに従うのは嫌、私の人生は私のものと、エリザベートの人となりが伺えるドラマチックなソロです。
瀬奈さんはパフォーマンスもきびきびと元気です。高音の難しいところも、力強く説得力がありますね。

田代万里生さん
前回に続いてのルドルフ役の田代さんも、初めての俳優さんです。まだ26歳の若さですが、堂々とした歌と演技が心に残りました。
一つ一つのせりふ、パフォーマンスに魂が込められていて、全力投球の姿勢に感動しました。若いって素晴らしい〜!
「独立運動」のシーンで姓は?と聞かれた時、“ハプスブルク”と答えた時の必死の形相が今でも忘れられないです。
「マイヤーリンク」ではトートに口づけをされ、死に導かれるようにピストル自殺をするシーンも印象的です。
「闇が広がる(リプライズ)」トートは舞台の右側から、ルドルフは左側から出て来て、中央でデュエットが歌われます。
二人のゆっくりだけれど力強い動きが、歌舞伎の立ち回りのようで美しいです。音楽の重厚な響きが素晴らしいですね。
祐一郎さんの暖かくて包容力のある声と、田代さんの少し硬質ではりのある声のハーモニーが美しく、堂々としたデュエットです。

「私を燃やす愛」ゴンドラから甘い歌声が聴こえてくると、やはりわくわくしますね。ずっとオペラグラスで見ていましたので
いつの間にか、ゴンドラがステージの中央にいました。次回は祐一郎さんの表情や、ゴンドラの動きも、ちゃんと観たいです。
「愛のテーマ〜愛と死の輪舞」2008年観劇の時、“エリザベート、いまこそ〜”の美しいフレーズが、今でも鮮明に耳に残っています。
この世のものとは思えない美声、まさに黄泉の国の帝王の歌声だと思います。2年前は、初観劇ということもありましたし
祐一郎さんの繊細な感性にドキドキしましたが、今回は安定感があって、安心して聴くことができました。どちらも素敵です。
「不幸の始まり」教会の鐘とオルガンの荘厳な演奏が響く中、トートの登場がちょっと不気味ですね。
“全て汝の意思であることに間違いないか”と尋ねた後の、トートの笑いに、不吉な予感がします。
笑いは劇場の後方からも聞こえてきました。ほんとうに祐一郎さんの声?って思いました。

「最後のダンス」シースルのマントと死の帝王らしい黒い衣装に包まれて歌う姿は、男らしくて心が奪われます。
エリザベートとトートダンサーのダンスも迫力があって、トートとエリザベートの怪しく激しい関係が伝わり、高揚しますね。
“お前は俺と踊る運命”は“さ〜〜だめ〜”とさを強調して歌っています。全身全霊を使っての熱唱に、観客の拍手も熱いです。
「ミルク」ルキーニが荷馬車でミルクを売るシーンは、色彩的にもミレーの絵画のようで美しいです。
ルキーニと民衆たちとのコーラスも息がぴったりで、ミルク缶を持ってのダンスも迫力があって、舞台に引き込まれました。
高嶋さんはダンスの振りもシャープで、歌も自在に表現していて楽しいです。振付けが凝っていますね。
「私だけに(リプライズ)」「私だけに三重唱」禅さんは、前回よりも丁寧に情感を込めて歌っていました。
フランツのエリザベートへの思いが伝わるソロは、美声が響いて心地良かったです。
トートとエリザベートのデュエット、その後フランツとのトリオは、一幕のラストに相応しく華やかですね。

「微熱」エリザベートがダイエットのために使っていた器械体操具から落下すると、医者がやってきて(実はトート)
エリザベートの診察をするシーン。医者のふりをしたトートが“脈は?青い顔色”と美しく怪しく歌ってちょっとドキドキ…。
「最後のチャンス」エリザベートが“命を絶ちます”と言うと、“それがいい〜エリザベート”とうめくように言って、コートを投げ捨て
歌い始めるところは、グッと心をわしづかみにされました。紳士的な医者が、突然怖い死神に変貌するところが見事ですね。
「独立運動」トートさまのダンスと歌がインパクトありますね。こんなに激しいダンスは初めてなので、新鮮な驚きです。
リーヴァイさんの音楽がほんとうに魅力的で、オーケストラの演奏もダイナミック!弦楽器、管楽器がよく響いていました。
民衆たちが繰り広げる革命の嵐、人々が抱く想いが交錯して、心に迫る大好きなシーンです。
「悪夢」フランツが夢に見たオペラのシーン。トートがマエストロになって指揮をするところが、いつも気になります。
最初は軽やかに、だんだん激しくなって全身で指揮をする姿は絵になりますね。指が長くて手が美しいので、手さばきがきれいです。
「愛のテーマ」エリザベートがルキーニに刺され、ハプスブルク家の終焉を思わせるラストシーンです。トランペットの響きが物悲しいです。
息を引き取った後、真白いドレスを着たエリザベートとトートのデュエットは、苦しみから逃れられた安らぎも感じられ感動します。
トートにキスをされたエリザベートが棺に入り、ルキーニもその前で息を引き取ります。衝撃のラストですね。

カーテンコールは5回ありました。出演者一人一人に温かい拍手があって、透き通った緞帳が2回上がって
最後はトートとエリザベートが手をつないで2回、出てきてくださいました。最後はやはりにこにこ笑顔で手を振っていました。
観客も立ち上がって、いつまでも拍手が鳴り止まなかったです。ほんとうに最後っていう時に
祐一郎さんが腰をかがめて、両手で大きくバイバイされて、客席がどっと沸きました。私もかなり笑しかったです(笑)
2回観劇して、私も「エリザベート」の世界、魅力に取りつかれてしまいました。
曲数が多いので、ちゃんと予習しないと…次回はある程度、目標をしぼって楽しみたいです。

エリザベート   ELISABETH

演出 小池修一郎
脚本 歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽 シルヴェスター・リーヴァイ
出演 エリザベート 朝海ひかる   トート 山口祐一郎   フランツ 石川禅
    ルキーニ 高嶋政宏   マックス 村井国夫   ゾフィー 杜けあき
    ルドルフ 田代万里生   ルドヴィカ 阿知波悟美   ヴォルフ 伊藤弘美 
    ルドルフ(少年)菊池駿
観劇日 2010・8・17 マチネ 帝国劇場

8月12日の「エリザベート」は祐一郎さんの初日で、しかも800回記念公演ということで、本当におめでとうございます。
10年間続けるのは奇蹟とおっしゃっていましたが、ミュージカルへの愛情と情熱があったから達成したのでしょう。
華やかなだけではなくて、人生の苦しみや葛藤を描いている作品なので、多くの人たちに愛されるのだと思います。
楽曲も力強いものが多いので、オーケストラの演奏もいつもよりも音がよく響いていたのが、印象的でした。
今回、1階後方の席でしたし、新しいオペラグラスが慣れなくて、見落とした場面もたくさんあります。
印象的なシーンは覚えていても、歌とパフォーマンスが一致しないので、うまく言葉で表現できないのが残念です。
でも17日の舞台は、祐一郎トート帝王の存在感が大きかったので、ファンとして嬉しく幸せな3時間でした。
今回はメモがほとんどできませんでしたので、記憶に残っている範囲で感想を書きます。

プロローグ
冒頭は独房内なので、セットは暗く、場面ごとに次々変わるということもなくて、終始落ち着いた色調の舞台でした。
シンバルの音が響いて、ルキーニの叫びにも似たようなイタリア語のせりふが、異様な世界を表現していてすごいです。
「我ら息耐えし者ども」ゾフィーやフランツ、ルドルフ、マックスといったエリザベートを囲む人々が蘇る力強いコーラスです。

朝海ひかるさん
朝海さんを拝見するのは、初めてです。お顔立ちもスタイルも美しく、ラストの純白のドレスが舞台映えしてきれいでした。
エリザベートを演じる方は、華やかな女優さんというイメージがありますが、朝海さんはどちらかというと地味な
印象の女優さんですね。ブログなどのインタビューでも、静かにお話をされる方だな〜と思いました。
芯は強い方なんでしょうね〜きっと。舞台はトート帝王がリードしている雰囲気が何気なく素敵。
「私だけに」私は私、自由に生きたいと切々と歌われる、エリザベートのソロです。印象的なメロディーに激しい感情も込めないと
いけないので、とても難しい歌だと思います。特に最後の“私に〜〜!!”の高音で伸ばすところは大変でしょうね。
朝海さんは、感情を少し抑えていて、でも内面の強さを感じさせる歌で、好感が持てました。

石川禅さん
禅さんというと、私には「TDV」のアブロンシウス教授の印象が強いので、どの役柄でも、教授と比較して困ります(笑)
若くして皇帝になったフランツも、禅さんが演じると、ぴったりとその役にはまるから不思議です。
「レベッカ」では、とても柔和で優しい雰囲気でしたので、やはり全然違うキャラクターへの切り替えが素晴らしいですね。
「あなたが側にいれば」フランツとエリザベートのロマンティックなデュエットです。最初は仲睦まじいカップルだったことが
歌に現われています。禅さんがエリザベートへの愛を美しく歌ってうっとりしますね。

村井国夫さん
村井さんは、「マイ・フェア・レディ」のヒギンズ教授役の舞台を拝見したことがありますが、ダンディーでお声も素敵。
普段も柔和で心地良くお話をされるので、彼のおしゃべりを聞くのは大好きです。今回はわりと地味な存在なので
彼の美声があまり聴けなかったのが残念ですが、登場するだけで存在感のある方ですね。
「パパみたいに(リプライズ)」エリザベートが海を見ながら詩を書こうとすると、父親のマックスが現われて
ふたりのデュエットが始まります。不協和音を使った伴奏に、この世のものとは思えないようなメロディーと曲調が楽しいです。

高嶋政宏さん
高嶋さんは2008年の舞台でも拝見していますが、その時よりも今回は新しい発見がたくさんあってとても楽しかったです。
舞台の進行役なので、歌よりもせりふが圧倒的に多いですね。声の調子をその都度変えて、怖かったり、おどけたりして
緩急をつけたルキーニの存在は大きいと思います。実際のエリザベートの写真の解説や、彼女の人となりを紹介したりして
出番が多いので気を使う役ですね。ミルクを売って歩く場面は、絵画を見ているようでした。
「計画通り」フランツは姉のヘレネと結婚するはずが、なぜかエリザベートを気に入ってしまい…と世の中計画通りには
いかないから面白いと歌っていますが、高嶋さんの自由奔放な表現が素晴らしくて、聞き入ってしまいます。

山口祐一郎さん
どの歌も、どの場面もダイナミックでしかも繊細、妖艶なトート帝王でした。
黄泉の国の帝王ということで、いつも黒い色調のお洋服でしたね。長身なので、ブーツやマント姿もお似合いでうっとり…。
お顔がキラキラと輝いていましたし、後ろ姿もブロンドとレッドの長い髪が揺れて、とても美しかったです。
馬車の上で鞭を使う場面と、舞台上段で指揮をする姿が素敵!(このシーンは2008年の公演でもわくわくしました)
「独立運動」のシーンでしょうか?トートさまの激しいダンスシーンには驚きました。次回も楽しみです。
「私を燃やす愛」ゴンドラに乗っての登場だったのですね。「TDV」の登場シーンも凝っていましたね。
最初の“天使の歌は喜び”の甘く美しい響きが大好きです。祐一郎さんにしか表現できない世界です。
「最後のダンス」圧巻でした!静かなところと力強いところの対比も見事ですし、階段の場面は歌もパフォーマンスも
ダイナミックで高音になってもはりと艶があって、ぐいぐい引き込まれます。トートの歌とダンサーとの競演も素晴らしくて
“お〜〜れ〜さ!”と歌い終えた時の、拍手と歓声がすごかったです。エネルギッシュで華のある場面ですね。
「闇が広がる(リプライズ)」重厚な音楽にのせて歌われるトートとルドルフのデュエットが素晴らしいです。。
ふたりの所作も美しいので、歌舞伎の舞台を観てるようでした。今度はオペラグラスでしっかりと観たいです。
素敵な歌、シーン(キスシーンも2回!)はたくさんありましたので、次回もう少しちゃんと記憶したいです。

カーテンコールは5回ありました。最初はキャスト全員でしたが、最後はトートとエリザベート並んでのご挨拶でした。
おふたりの立ち姿が美しくて、輝いていましたよ。4回目の時に前方のお客さまに、にっこりされて歓声が聞こえてきました。
素顔に戻った時の祐一郎さんの笑顔はやっぱり素敵ですね。猛暑の中での舞台ですが、お元気なので嬉しいです。

   

エリザベート   ELISABETH

演出 小池修一郎
脚本 歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽 シルヴェスター・リーヴァイ
出演 エリザベート 朝海ひかる   トート 山口祐一郎   フランツ 石川禅
    ルキーニ 高嶋政宏   マックス 村井国夫   ゾフィー 寿ひずる
    ルドルフ 浦井健治   ルドヴィカ 春風ひとみ   ヴォルフ 伊藤弘美
    ルドルフ(少年) 菊池駿
観劇日 2010・10・7 マチネ 帝国劇場

4回目の観劇ですが、今回もほとんど空席がなくて、熱気溢れる舞台でした。本当に「エリザベート」は人気がありますね。
内容的には暗いので、楽しかった、お話に感動したということはあまりなかったのですが、ダイナミックな演出と美しい音楽
経験豊富な俳優陣たちの完成された舞台の素晴らしさは、私の記憶にいつまでも残ると思います。
祐一郎さんの美しい歌声に惹かれて、舞台に興味を持ち、重厚な作品に出会って、ミュージカルの楽しみ方の視野が広がりました。
この年になって、こんな楽しい経験ができるなんて思っていませんでしたので、ほんとうに幸せです。
18日のマチネを観たかったのですが、完売でしたので、今回が最後の観劇になります。
あまりメモができませんでしたので、自信のない記憶を頼りに、主に祐一郎さんの歌のレビューを書きます。

浦井健治さん
浦井さんは「TDV」のアルフレート役を観ていましたので、ルドルフ役はとても楽しみでした。一度でも舞台を観ていると
懐かしく親しみを感じますね。浦井さんはきびきびとしたパフォーマンスとのびやかでよく通る歌声が心地良く響いていました。
少し体重をしぼられたのでしょうか、お顔もよく引き締まって、汗びっしょりの熱演に感動しましたよ。
「闇が広がる」この曲はパフォーマンスも歌も重厚で、聴く者をグイグイと引き込んでしまうようなパワーがありますね。
浦井さんの声質は明るくてソフトだけれど、芯があって引き締まっている上に、音楽的で歌心がありますね。
祐一郎さんの歌には圧倒されるような気迫の中にも包み込むような優しさがあるので、二人の相性はとても良いと思います。
「TDV」で共演しているので息もぴったりで、力強さと音楽性を兼ね備えた、素晴らしいデュエットでした。

「私を燃やす愛」トートさまの登場シーンは、オペラグラスをゴンドラに合わせるのが大変なので、いつもあせってしまいます。
あっという間に地上に着きますので、集中していないと見過ごしてしまいますね。華やかに広げた蝶の羽がとてもきれいですが
ゴンドラから降りてからのパフォーマンスが、黄泉の帝王らしく何者にも負けない力強さがあって素敵ですね。
「愛のテーマ〜愛と死の輪舞」歌に集中しているとパフォーマンスがちゃんと観れないので、両方に気を使うのが大変。
トートさまがエリザベートに恋心を抱く歌なので、パフォーマンスが愛情に溢れていて、うっとりします。
シシィもトートへの愛を、女心たっぷりに表現していて、二人の愛の表現が優しく伝わってきます。
「不幸の始まり」教会の荘厳な鐘の音、不気味なコーラス、オルガンの重厚な演奏に合わせて、天井から白い布が降りて来て
人々を囲むシーンは、とても幻想的で美しいですね。トート帝王の笑いは、何回聞いても不気味で怖いです。

「最後のダンス」前回がとても素晴らしかったので、比較すると少しお声にお疲れがあったように思いました。
ラストの“お〜〜れ〜〜さ〜”も少し延びが足らなかったように思います。これだけの迫力で3ヶ月間、歌い続けるのは厳しいので
千秋楽まで、お声を大切にしていただきたいです。エリザベートとのダンスは生めかしいですね。
「私だけに」朝海さんは8月の公演は、少し緊張もあって声にのびが足らなかったですが、今回はとてもリラックスして歌っていました。
表現力がとてもあるというのではないけれど、上品で落ち着きのある動作、振る舞いは好きですね。この歌はとても難しいと思いますが
上手に気持ちを表現していましたし、声も良く出ていました。ラストの“わたしに〜〜も”しっかりと響いて良かったです。
「エリザベート 泣かないで」エリザベートとフランツの後に、突然トートさまが机の前に現われるのが不思議でしたが
暗闇からライトが当てられての登場が、今回よく分かりました。立ち上がるとスラリとした長身に、タイトな洋服がお似合いです。
祐一郎さんの誘惑するような甘い美声を聴くことができる幸せなシーンです。

「皇后の務め」ミルク風呂に入るエリザベートのために、準備をする女官長と女官たちのコーラスとダンスが素晴らしいです。
女官たちがミルク缶を持って踊りますが、ダンスの振り付けがとても可愛いですね。うまく言葉では表現できないですが…。
「私が踊る時」今回、トートさまは馬車に乗るシーンが多いですね。この歌も馬車の上で歌って、降りてから舞台上で
二人だけになってのデュエットが素敵。悲壮感の感じられない明るいテイストなので、安心して聴けます。
祐一郎さんの恵まれた体が、素晴らしい楽器になって、声が美しく共鳴しているのですね。
「ママ、何処なの?」少年ルドルフは、4人のキャストですが、みんな声がよく似ていますね。ルドルフが“誰?”って聞くと
“友達さ”と答えるところは、「闇が広がる」で“友達を忘れはしない”につながっているのかしら?ルドルフが歌っている時
後ろからトートさまが剣をつきつけているので、あれっと思いました。甘くて優しい中に怖さが潜んでいる…死神ですものね。

「微熱」髪の毛はコートと帽子にすっぽりくるまれているので、短髪に見えるところが、何気なく好き。“ふたりだけにしてください”
と言って、脈をはかったり、顔色を見たりして、静かなシーンだけど、怪しい空気が流れていて大好きな場面です。
「最後のチャンス」帽子を脱いで、その後コートを3回振り回して捨てるところが激しくて、何回観てもどきどきします。
静と動のコントラストが素晴らしいです。朝海さんの“宮殿を出ます”の後の“いえ命を絶ちます”の言い方が大人しいので
トートさまの“それがいいエリザベート”がちょっとタイミングが取りづらい感じで残念でした。
「独立運動」最初、馬車に乗って新聞を読んでいて、何回も激しく鞭を打って、降りてからのトートさまから目が離せないです。
革命の嵐を巻き起こす民衆のダンスは激しくて、その中をトートさまはジャンプしたり、人々の間をぬうようにくぐりぬけて
やがてトートダンサーたちが現われて、一緒に体全身を使ってのダンスは、何回見てもいいな〜って思います。

「マイヤーリンク」死の舞踏はダンスだけでなく、音楽も不吉な感じがしますね。浦井さんとのキスシーンは軽く、でも
しっとりと口びるに触れていました。浦井さんは汗びっしょりで目をつぶって決死の覚悟の表情でした(笑)
「悪夢」これまでトート帝王の指揮に集中していましたが、下界では家族や近親者が死んでいくのが伝えられると、フランツが
その度に苦しみもだえていますね。トート帝王が天上でそれらを操っていますが、穏やかな表情も途中から不敵な笑いに変わります。
「愛のテーマ」エリザベートの地上の苦しみから解放された安らぎを感じて、こちらもほっとするような気持ちになります。
トートさまはエリザベートを得た喜び、充足感に溢れていますね。キスは少し激しく、でも優しく丁寧に…という感じかしら。
最後に手を振って、かざすような合図は、ルキーニの死へのサインなのでしょうか?

カーテンコールは全員で3回、トートとエリザベート、二人で2回ありました。祐一郎さんは手を広げて、拍手に応えていますが
トート役への愛情と自信に溢れていますね。今回は2回目くらいから、客席が立ち上がって拍手が鳴り止まなかったです。
恒例の腰かがみのご挨拶は2回ありましたので、その度に歓声が起きて、賑やかなカーテンコールでしたよ。
千秋楽が近づいてきていますので、少しずつお客さまの熱気が増しているように思います。
後3回の公演になりましたが、お体に気をつけて無事に千秋楽を迎えられますよう、素晴らしい舞台になりますように…


エリザベート   ELISABETH

演出 小池修一郎
脚本 歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽 シルヴェスター・リーヴァイ
出演 エリザベート 朝海ひかる   トート 山口祐一郎   フランツ 石川禅
    ルキーニ 高嶋政宏   マックス 村井国夫   ゾフィー 杜けあき
    ルドルフ 伊礼彼方   ルドヴィカ 春風ひとみ   ヴォルフ 伊藤弘美
    ルドルフ(少年) 鈴木知憲
観劇日 2010・9・27 マチネ 帝国劇場

8月は予定がいろいろ入っていましたので、8月2日の観劇から少し間の空いた3回目の観劇でしたが、猛暑の後の急な秋の到来で
俳優さんたちは、体調の管理が大変だと思います。今日はこれまでよりは、少し前方の座席でしたので、ステージの動きや
俳優さんの表情がよく見えました。「エリザベート」は彼女の半生をかけ足で描いているので、歌をゆっくり楽しみながらも、集中して
観ていないと、お目当てのシーンも見過ごしてしまうのでちょっと大変。今回気がついたのですが、トートダンサーのダンスが
多くの場面で、異様な中にも華やかに舞台を彩っていて見応えがありました。体調が良くなかったので、新しい発見は少なかったですが
トートさまの素敵な歌は、しっかりと記憶に残っていますので、祐一郎さんの歌を中心にレビューを書きます。

伊礼彼方さん
伊礼さんは初めての俳優さんなので、楽しみでした。キャストが変わると、舞台の雰囲気も違ってくるので楽しいですね。
彼の演技は良い意味でフットワークが軽快なので、一生懸命さの中にも現代っ子らしい明るさが、終始印象に残りました。
「独立運動」の時に姓は?と聞かれた時の、“ハプスブルグ”の答え方が、必死というよりも明るい感じだったのが彼らしいです。
「闇が広がる」トート帝王は左側の上段の部屋から、ルドルフは右側の舞台上から登場して中央で一緒になり、バイオリンとチェロの
重厚な前奏に乗せて端正でゆったりとした振り付けとデュエットは、やはり見応えがありますね。
伊礼さんのルドルフは明るい中にもひたむきさが感じられました。声は素直で透明感があるので、聞く人の心にす〜っと入ってきますね。
祐一郎さんとのデュエットは、違和感はなかったですが、悲壮感みたいなものは祐一郎さんが、うまくリードしていたように思います。

「私を燃やす愛」オペラグラスはトートさまの表情を見たいので、最初だけ使って後はゴンドラの動きを見ていました。
羽を広げた蝶の形のゴンドラが右上段から中央にス〜ッと降りてきてその間、美しい歌声が響いて、表情は黄泉の帝王らしく
美しく怪しくて、わくわくするような嬉しい登場シーンですね。
「愛のテーマ〜愛と死の輪舞」今までは歌に集中していましたが、今回はパフォーマンスもしっかり観ました。
トートとエリザベートが出会い、彼女に恋心を抱いたトートさまは、その想いを狂おしいほどに全身で表現していますね。
エリザベートに恋の念力を送ったり、見つめ合ったり、優しく抱擁したりと見惚れてしまいます。
美しい名曲を、これほどまでに甘く心に響く美しい声で歌えるのは、祐一郎さんしかいないと思います。

「不幸の始まり」教会の鐘の音が荘厳に響く中、トート帝王が白く透明な布を天上?から操っています。
白い帯状の布が幾重にも重なって、美しいけれど不吉な感じが漂ってきますね。トートさまの笑い声が怖くて不気味です。
「最後のダンス」階段の上で静かに目をつぶって、手をプルプルさせながら歌う姿が素敵‥。最初は怪しげな登場だけれど
エリザベートを抱き寄せながら、“最後のダンスは俺のもの”から力強くなり、また静かになって、ラストに向けてのパワフルな
歌とパフォーマンスが絶品です。階段の途中で腰を据えて、クライマックスに向けてエネルギーをためているところは
こちらもつい一緒に力が入ってしまいます。“お〜〜れ〜〜さ〜”は今までの中で一番迫力があって、拍手が鳴り止まなかったです。

「エリザベート泣かないで」エリザベートがフランツに“子供の親権はわたし”と強く迫った後に、いつの間にかトートが机に向かって
ペンを動かしているちょっと不思議なシーン。トートさまの甘いけれど誘惑するような歌い方が好きですね。
エリザベートに拒絶されて、羽根ペンを床に突き刺すのは、今回新しい発見でした。
「私が踊る時」トートさまが馬車の上で鞭を打つシーンの後に、エリザベートと掛け合いのようなデュエットが素敵です。
怪しくて生めかしい歌が多い中で、重厚だけど明るく、二人の関係も穏やかでほっとするような歌ですね。
祐一郎さんののびやかで大らかな美声が思う存分発揮できる曲ですね。“えらぶ〜〜〜”の響きが美しいです。
「ママ、何処なの?」ルドルフ少年は鈴木知憲くんです。天使のように汚れのない歌声に心が洗われるようです。
“ママには聞こえない…友達さ”のトートさまの甘くてとろけそうな声で、ルドルフを引き寄せるところが、微笑ましいです。
「レ・ミゼラブル」でコゼットと戯れているシーンと重なりますね。

「微熱」医者のふりをして入ってきて、帽子をすっぽりかぶっている横顔のシルエットが怪しげに美しくてうっとり…。
“脈は?微熱が…”のせりふも静かな男の色気があって、女心がくすぐられます。
「最後のチャンス」“それがいい、エリザベート”と帽子を脱ぎ捨て、豹変することろは、激しくてどきっとしてしてしまいます。
優しさが怖さに変わるのは、「TDV」や「レベッカ」でもありましたので、祐一郎さんの真骨頂かもしれませんね。
「独立運動」トートさまのダンスが楽しみな場面です(笑)最初は新聞を読んでいて、馬車に乗って鞭を振り、馬車を降りて
トートダンサーを従えて舞台の左側に移って激しく踊るシーンが、流れるように過ぎて素晴らしいです。
大きくリングを描くような動きはカリスマ的に美しくて、トートさまに目が奪われてしまいます。

「マイヤーリンク」死の舞踏なので、怪しげで怖いような音楽、ダンスシーンにゾクゾクします。
後方からトートさまが襲いかかるようにルドルフに向かってきて、拳銃を渡すシーンは凄みがありますね。
死のキスは軽く触れるように、さらりとでもゆっくりと…という感じしょうか?
「悪夢」フランツの夢のシーンなので、いろいろな人たちがうごめいている異様な世界ですね。
トート帝王の指揮は、まるで下界を操っているかのように微笑んだり、表情豊かで、動きもだんだん激しくなっていきますね。
最後にナイフを取り出して、ルキーニに投げることろは、今回初めて気がつきました。全てはトートの思うがまま。
「愛のテーマ」黄泉の国へ旅立つエリザベートが清楚な白いドレスで蘇り、トートさまとのドラマチックなデュエットでラストを迎えます。
エリザベートへのキスは優しく丁寧で、その後、力が抜けたようになって棺に入ったエリザベートの顔は、本当に青白く
血の気がなくなっていました。最後にトートさまが手をぷるっと振るわせて、合図を送っていたのが印象深いです。

カーテンコールは5回ありました。全員で3回、4回目はトートとエリザベート、最後に全員でしたが、3回目くらいから
前方のお客さまが立ち上がるので、後方の人たちが“見えなくなるのよね”と言いながら会場全員が立ち上がっての拍手で
劇場内は熱気に溢れます。緞帳が下がる前の、祐一郎さんのしこを踏むようなご挨拶は恒例になっていますね(笑)
祐一郎さんの素敵な笑顔も見られて嬉しかったです。次回は体調を整えて、観劇したいです。